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シンパシーとワンダー

武田砂鉄さんがパーソナリティを務める、ラジオ「アシタノカレッジ」に穂村弘さんがゲストで出演していた。そこでお話されていたことになるほどと思ったので記録です。

お二人が話していたのは、「シンパシー(共感)とワンダー(驚異)はイコールではない」ということだった。「感動」という括りで二つを一緒にしがちだけど、シンパシーは共感、つまり自分の中にもともとあったものに響く感動のことで、ワンダーは今まで自分の中になかったものへの感動というお話だった。

この話を聞いて、私の中で曖昧だった分類がすっきりした気がした。

ここ数年、感動するにも体力がいるなと思っていて、心温まる話、熱い歴史小説、主人公ががんばっているような話は、元気がある時にしか読めなくなっている。大学生くらいまでは、そういう話を読んで自分を奮い立たせていたのに。今はそれよりも、淡々と進む小説やルポ、自分の感情にリンクするエッセイを読むようになった。

これは、元気がないときほどシンパシーを求めがちになったからかも。もちろん、見つけたワンダーに心を軽くしてもらうことはあるけど、どうしても自分を救ってくれる"共感"を探しがちになる。

ラジオでは「今の世の中はシンパシーが強まって、ワンダーが弱まっているように感じる」「中高年になるとワンダー指数が下がって、シンパシー指数が上がる」といったことを話していた。前者は、みんな誰かに慰めてほしかったり、安心がほしいのかも…と思ったし、後者は感動する体力が落ちていくからかなと思った。

振り返ると、去年はだいぶシンパシーに助けられた一年だった。いろんなエンタメから共感を見つけては救われていた。今年は一つでも多く驚異を見つけられたら。

「ワンダーとは変なもの」と言っていたので(買ったトイレットペーパーを足で挟んでスクーターに乗っている人など)、そんな驚異を楽しめる自分はなんだかいい感じだ。ワンダーは、脳みそにもココロにも気持ちいい刺激なのかもしれない。

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