101回目の収穫が始まりました
8月末、いよいよ2023年の収穫が始まりました。
1923年9月の創業から数えると、なんと101回目の醸造期です。初代どころか、三代目の祖父ですら、今日このときを想像することはできなかったと思います。
今年の夏は、最高気温が記録されるなど猛暑が話題となりましたが、温暖化の陰で、山梨ではまとまった雨も少なかったことが、ブドウの熟度を順調に高めていったと感じています。
とは言っても、まだまだ収穫は始まったばかり。
スパークリングワイン用ブドウの収穫と仕込みが一段落し、これから、スティルワイン(非発泡性ワイン)の収穫を迎えようとしているところなので、これからが勝負ですが、過去一番と言ってもいい程の熟度を実感しています。
熟度が高い年は、時に酸がのっぺりとしてしまうことも多いのですが、今年のこれまでの特徴は、骨格をなす酸もしっかりと存在しています。
瓶内二次発酵のスパークリングワインは、酸が重要視されますが、シャンパーニュの当たり年は、しっかりとブドウが熟しているように、私自身は、健全な熟度も酸と同じくらい重要なことと捉えています。
スパークリングワインを造り始めて気付いたことですが、ボトルで熟成を重ねていくと、明野のような冷涼な産地において、ブドウの熟度が高い年のスパークリングワインは、多面的に複雑さを増していくのに対し、熟度があと一歩足りなかった年のワインは、どこか閉じこもったままの印象で一方向に熟成していきます。
後者のスパークリングワインも、エレガントで飲み疲れせず美しいのですが、生産者としては、「このワイン、いつか香りが開くのだろうか」と悶々としてしまうことがあります。
そういった意味で、2023年のスパークリングワイン(まだベースワインですが…) は、いつもとは少し違った顔を既に見せてくれています。
創業100周年の年。
長い時間をかけて、ブドウ畑の一部が有機JASの認証を受けた初めての年。
そして、世界で最も知られ、90ヶ国で発行されているワイン誌『Decanter』のWine of the Yearにノミネートされた年。
覚悟の年にしていきたいと思います。
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