科学とダイエットの話

 最近いろんなところで似非科学の人たちが頑張っていますね。
 やれ農薬は危険だの、やれワクチンは陰謀だの。お疲れ様です。

 歴史を紐解いてみても、悪意や陰謀で世界を席巻できた事象というのは非常に少ないです。
 結果はどうあれ発端やスタート地点は善意や正義のためであることがほとんどです。原爆もロボトミー手術も、基本的には世のため人の為というお題目の素に開発と研究が進みました。

 少し話はそれますが、戦争というのは自国民を救う一手段であり、他国を屈服させるのはある意味で自国民を守る救国的行為の側面もあるわけです。
 それが全体主義的に見て正しいかどうかはさておき。

 なのでまあ、世の中に広く利用されているものというのは概ね深い陰謀とか怪しい思惑なんてものはあんまりなかったりします。

 ところが、これらを利用して何かをしている人たちの話になると、それはまた違った側面が現れます。

 少し前に水素水などという謎ワードが話題になり、あの有名お茶メーカーすらそれに飛びついて売り出そうとしたりしました。
 最早あんなものを信じている人間など殆ど居らず(まさか居ないよね?)、それが科学的に正しくないこと、効能などというものは存在しないことが明白になったわけですが、たとえひと時とはいえ様々な人が飛びついた理由は、健康でありたいという人類普遍の願いに依るところだったりします。
 この水素水なるものが取り上げられた理由は活性酸素の減少や体の酸化(これもまた科学的には正しくないワードですが、便宜的に使用します)を防止することが老化やがんの予防に一役買うという研究から始まっています。
 つまり、老いたくない、健康でありたいという願望を叶える魔法のアイテムを欲した結果なわけで、それにつけこんだのが水素水ビジネスなわけです。

 なんでこういうことが起こるか。
 理由は単純で、無知だからです。

 馬鹿だアホだと申しているわけではありません。その分野、その研究、その学問に対する基礎的な知識が無いからです。

 過去様々な似非科学が健康や安全を謳いながら喧伝されてきましたが、正しく機序を考えていけばそんなことはあり得ないとわかるはずです。

 例えば人間の血管や血液に作用するぐらいの磁気を体に浴びれば何らかの不調をきたすのは明白だし、MRIにかかった人が肩こりや腰痛が治ったなど聞いたこともありません。
 コイルだかガウスだか放射線だか知りませんが、水道管に外側から装着するだけで水垢がなくなるならボイラー技士は中央制御室で鼻ほじりながら雑誌読んでるだけでお金がもらえる仕事になります。
 EM菌は種菌としての効果はありますが、環境中に柄杓でぶち撒いた程度で川の水質が変わるなら下水処理施設など必要ないのです。

 この、「ちょっと考えたらわかりそうなこと」を考えずに鵜吞みにしてしまうのが無知という状態です。

 今はとても良い時代になりました。遠方の図書館まで資料を漁りに行かなくてもそれなりの論文やわかりやすく解説した文書はどこでも確認できますし、何なら動画で解説してくれたり、ライブでリアルタイムに質問に答えてくれる人も居ます。
 もちろんそこに潜んで悪意をばら撒く愚者も居るわけですが、ネットサーフに慣れてくればそれを見分ける力も徐々に付けられるでしょう。

 正しい知識は、学ぶ姿勢があれば自然と身につくのです。

 で、農薬や自然農、有機栽培に関しては本業農家の方々がいらっしゃるのでそちらにお任せするとして、ワクチンに関してはもう論じるまでもない馬鹿気たところまで言ってるのでワタクシから言うことは特にないので、これから夏に向けて話題になるであろうダイエットの話。

 まず、市販品の「飲むだけで痩せる」「置き換えればそれだけで健康的なスリムボディ」と謡っているものですが、そのほとんどは食物繊維とビタミン剤の配合物です。下手したら不溶性食物繊維を雑に詰めただけみたいなものもあります。
 これらをその成分を理解せずに乱用すると、胃腸に支障をきたします。それはそれである意味痩せますが、健康的ではありません。
 また、錠剤的なもので「飲めば痩せる」「これだけで食べたものをチャラに」みたいなものは、ある意味体にとって毒なので、きちんとしたメーカーのものを使用し、用法用量をちゃんと守って使わないと危険な可能性があります。

 また、どう痩せたいのか、なぜ太っているのか、いつから太っているのかを理解したうえで対策をしていかないとリバウンドや体力低下に陥りますし、そのあたりを取っ払って「誰でも簡単に痩せます」とか「これさえすればあなたも夏までにスリムボディ」などといううたい文句は全嘘です。

 そしてそのようなわかりやすくキャッチーな嘘をトップに掲げるような情報は信用するべきではありません。

 じゃあどうしたらええねん。

 って言う話は長くなったので次回にしましょうかね。

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