君はこんなものを仕事にするのか5
重なる不幸
歳を重ねるごとに、早起きになる。
2001年頃では、朝8時には会社にいたがその時はまだサラリーマンだった。
そこからどんどん早くなって、今となっては、朝4時には起床する。
朝は貴重だ。
静けさと共に本当に自分がしたかった仕事に夢中になれる。
また、暗がりの中、出勤する車内で色んな考えも浮かぶ。
多くの経営者は朝が早い。同じようにどんどん歳と共に朝が早くなるのだろうか。
その日も朝早く会社に着き、PCを立ち上げ、会社のデータを眺めていた。
退職した取締役は退職前から、競合他社に移ることを計画していたようだった。
準備に、社内のデータを持ち出すことができないので、社内で手書きで写して自宅に持ち出していたことが発覚していた。
手書きで写されると、いくらデータ管理を徹底しても難しい。
すでに被害総額は数千万円になる。
競合他社に持ち出されたデータから取引先をどんどん攻撃され、防戦一方だった。
明らかな違法行為だ。だが、裁判はまだまだ決着しない。決着までに3〜4年かかる見通しだ。
訴訟に勝っても、これでは会社がもたないかもしれない。
再発防止にはどうすればいいか。
会社への出入りの際に個人の手帳まで提出させなければ防ぎようがない。
ただ、持ち出されたデータだけでは考えられない事も数件発生していた。
これは、ここ最近で、社内からリークされてるのではないか?それでなければ有り得ないことが起きている。しかし、誰が。
どうしたものかと悩んでいたとき、とある支店から電話があった。
社長大変です。○○さんが、亡くなりました。
え?なんの話?昨日まで元気だったよね?
○○さんとは幹部社員でこの混沌した会社内でもっとも頼りにしていた古株の社員だった。
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