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【異文化体験】 技能実習生とのエピソード

こんにちは。生活指導員のみこみこです。
2021年から技能実習生に日本語を教えたり生活面でサポートをしたりしています。今年は、新型コロナウイルス感染症が下火になったことで、ようやく実習生たちと外出ができるようになりました。
2023年の振り返りとして実習生たちとのエピソードを書きたいと思います。

次は私の番ですから

実習生の寮はひと部屋5~6人。毎週訪問して生活面をみています。日本語の学習に集中するときもあればガールズトークで終わるときもあります。

その中、入国3年目の部屋でいちばん年下のミシェルはアニメが大好き。日本語の学習もアニメから学んでいました。

訪問したときは彼女は必要なことしか話しません。日常の報告はいつも先輩におまかせ。そのため彼女のことはあまりよくわかっていませんでした。

ある日、ミシェルから病院に行きたいとメッセージがきました。難しい病名、ネットで検索した画像が次々に送られてきて不安で仕方ない様子が伝わってきました。異国での診察は心細いだろうと感じたので、一緒に病院に行くことにしました。

病院に行くとかなりの混み具合。
そうだ!この待ち時間にミシェルといろいろ話そう。

通常の訪問ではひとりだけに時間をかけることはできません。気になる実習生がいた場合はオンラインで対応することにしています。この時は、ミシェルと話せるちょうどよい機会でした。

病気について家族には話していないこと。
両親は高齢のため仕事はしていないこと。
家の購入費や兄弟姉妹の学費のために、たくさん仕送りをしていること。

こんなことを静かな待合室でポツリポツリと話してくれました。
その中で、家の支払いはすべて彼女が負担しているというフィリピン事情に直面しました。私は何も力になってあげることができません。私が困惑しているとミシェルは、「次は私の番ですから。私が払います」と。

兄弟姉妹の中で最年長といってたけど、日本に来たのは21歳。その年齢で家族の生活のすべてを背負って来ていたとは…

私はどうだった?24歳だった頃。家族のために時間やお金を費やしたっけ?とても恥ずかしい気持ちになりました。自分のことしか考えてなかった独身時代。

「私の番です」と言ったミシェルは、誰かを責めいているわけでもなくそういう順番だから、と納得しているようでした。「いろんな事情を抱えて日本に来ている」と管理団体からは聞いていましたがそれを肌で感じた出来事でした。

このようなケースを知ってから精一杯応援していこうとさらに強く思うようになりました。出来ることは限られているけど日本にいる間辛いことがあったら頼ってほしい。それだけは伝えることができました。

お花見は浴衣で


浴衣に着替えて待望のお花見へ


「お花見に行きませんか!」と誘ってくれたのは入国後初めての春を迎えた実習生。久しぶりのお花見に私もワクワクしていました。フィリピンに桜が無いので(一部の観光地や日本庭園のみ桜がある)彼女たちはSNSで見た先輩たちのお花見に憧れていました。
日本に来たばかりの実習生たちはイベントといったら浴衣を着て記念撮影!そしてTik Tok。今回も浴衣かなと想像していました。

「浴衣は着るの?」
「はい!先輩から借ります」
「5人分借りることはできたの?」
「大丈夫です!」(この大丈夫です!は不安だなー)

案の定、当日の早朝、電話がきました。
「浴衣持ってないですか?2つ足りないです!」
アーーーーーーー。昨日のうちに確認しておけば良かった!

何年も出してなかった私の浴衣。虫に食われていないか恐る恐る広げてみた。大丈夫そうだ。急いで待ち合わせ場所に向かいました。

浴衣を渡したところ、
「どうやって着ますか?」
「えーーーーー!YouTubeで見たんじゃなの?!」
アーーーーーーー。確認しておけば良かった!

5人に着せるには…どうしよう…困りましたがやるしかありません。
まず、一人をモデルにして着せるところを他の4人にしっかり見てもらいました。残りの4人は二人一組になって四苦八苦しながら完了!
帯が無かったり腰紐が足りなかったりしましたがなんとか形になりました。

日本に来たばかりの実習生たちはイベントといったら浴衣を着て記念撮影!そしてTik Tokです。

この時も浴衣を着てTik Tokをしていました。桜の木の下でTik Tokできたことがいちばんの思い出になったようです。笑

ゴハン食べていいですか?

実習生たちからランチに行こう!とリクエストがあったのでケンタッキーへ

先に着いたはずの2人がいません。注文の列に並びながら待っているとご機嫌な2人が戻ってきました。隣接しているスーパーへ買い物に行ってきたとのこと。夕飯の食材かなと思っていました。

とりあえず、注文して席に着きます。

全員のチキンと唯一私が注文したチキンバーガーでテーブルがいっぱいになりました。
みんながなにかソワソワしています。先ほど買い物してきたものをゴソゴソ…
「先生、このゴハン。食べていいですか?」

最初はどうしてそんなことを聞いてくるの?と思ったんですが、割り箸を見てすべてを理解しました。
どうやら、ここでチキンと一緒に食べたいようです。

「ちょっと待って。店内に持ち込みはダメなの。今までも店内で食べてたの?!」

日本の実情を説明するとこの日はチキンとゴハンが並ぶことはありませんでした。少しかわいそうなことをしたかもしれませんがここは日本なのでしかたありません。

訳を聞くと、フィリピンのケンタッキーはチキンのセットメニューにゴハンがあるとのこと。だから、チキンを食べるときはいつもゴハンがほしい。この店にはゴハンがないから持ち込んだよ。ですって。それも、ちゃんとレンジで温めてから。

ケンタッキーでランチ

その後、他の実習生ともケンタッキーに行きましたがゴハンを持ち込むことはありませんでした。でも、日本人が一緒じゃないときは持ち込んでいるんですって!きっと、店員さんが寛大なんですよね。ありがとうございます!

今年も実習生とのコミュニケーションは異なる価値観や異文化だらけでした。でも、私は今までの自分の常識が覆されるたびに新たな価値観が生まれ違いを知ることにワクワクします。大事なことは、相手を否定しないで話を聴くこと。
これからもお互いに尊重し合って良い関係を築いていきたいなと思います。

この記事は、ライターゼミ・アドベントカレンダーに参加しています。

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