〜heldioガイド〜【D】dictionaryのお話し

heldioとは?
・慶應義塾大学文学部の堀田隆一先生が「英語史をお茶の間に」をモットーにVoicyで毎朝6時に配信されているラジオ

・このガイドは、heldioを楽しむための道案内となることを願い、お茶の間の住人が作成しているものです。
・アルファベットのAから順にheldioにまつわるキーパーソンやキーワードを紹介します。
\今日からあなたもheldioリスナーに/


歴史的産物である辞書
語学学習に欠かせないツールの一つと言えば…そう、辞書である。多くの人が学校の授業や個人学習をする際にお世話になっていることだろう。
また母語でも文章を書く時など、ある語の意味を正確に確認したいと思えば辞書を引くことがある。
現代人にとっては英和辞典、和英辞典、国語辞典など目的別にさまざまな種類が揃っていることは当たり前のように感じられる。しかしこれらは全て歴史的産物、つまり私たちが辞書と言えばこういう仕様と思い浮かべる「慣習」は歴史の中で徐々に作られたのだ。

例えば英語の歴史において、
・辞書の成立はバイリンガル=2カ国辞書(羅英辞典等)→モノリンガル=1カ国語辞書(英英辞典)の順であった
最初の英英辞典は1604年出版のRobert Cawdrey著A Table Alphabeticall (一方の2カ国語辞書は、古英語の時代からあった)
・Cawdreyの収録語は完全アルファベット順ではなく、2文字目以降はabcの順に並んでいない
・Cawdrey他、17世紀中に出版された辞書に収録されているのは外国語から借用された単語等の難語のみ
・ネイティブなら誰しもが知っている日常語も収録されるようになったのは18世紀になってから
・語義を細分化し、さらに語義ごとに例文=実例を掲載したのは1755年出版のSamuel Johnson著A Dictionary of the English Languageが初

ということを知ると、いかに現代当たり前だと思っていることが歴史の途中で作られたもの=相対的であるということに気付かされるだろう。
このような辞書の歴史というのも、広い意味で英語史の中で学ぶことができるのだ。

※本内容は以下のheldio放送回を基に執筆。
#46. abc順の英語辞書を当たり前と思っていませんか?
https://voicy.jp/channel/1950/178767

#337. 英語史上最初の英英辞書は Robert Cawdrey の A Table Alphabeticall (1604)
https://voicy.jp/channel/1950/318093

#719. Johnson の辞書 --- 1755年出版の画期的すぎた英語辞書https://voicy.jp/channel/1950/531683

#720. Johnson の辞書が1755年に生まれる以前の英語辞書事情https://voicy.jp/channel/1950/532556

『英語語源辞典』
ところで、heldioは「英語の語源が身につくラジオ」であるから、英単語の語源に興味があってこのチャンネルに行き着いたという人も少なくないのではないか。
そんな語源好きの皆さんに堀田先生が超激推しするのは、研究社から出版されている『英語語源辞典』である。
日本語で書かれている同辞典は、約5万語という収録語数、精度の高さといったさまざまな観点から世界に誇る代物だ。実際に海外の研究者も、語源記述欄は日本語がわからなくても慣れれば読み解けるからと愛用しているケースもあるという。
また巻末には「英語の地名要素」「印欧語根表」「語源学解説」という3種類の附録が加えられており、この1冊から得られる情報量は計り知れない
おっ、これは自分向き!とさっそく手に取りページをめくってみると、諸々の記号やアルファベットの略称が並んでいることに面食らうかもしれない。
そんな時はheldioの『英語語源辞典』を読むシリーズ」にあたってみよう。
堀田先生のもとで学ぶ大学院生とともに、具体的な1語を選び該当ページを参照のうえ、記号類を中心に「読み方」を解説してくれている。
heldioの対象回のほか、『英語語源辞典』に関する堀田先生の一連の情報発信は以下のhellog記事にまとめられているので必読!

#5436. 私の『英語語源辞典』推し活履歴 --- 2024年3月15日版https://user.keio.ac.jp/~rhotta/hellog/2024-03-15-1.html

lacolacoさんのnote記事
heldioコアリスナーのお一人であるlacolacoさんは、なんと『英語語源辞典』の全ての見出し語をaから順に熟読するという試みを実践されている。その成果は「英語語源辞典通読ノート」としてnote上でまとめられているので、語源好きの人はもちろんのこと、今はまだそこまで関心が…という人もぜひご覧いただきたい。語源をたどるとどのようなことがわかるのか掴めるだろう。語源探究の虜になること間違いなし!
lacolacoさんのnote
https://note.com/lacolaco

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