最近読んだ小説

『こちらあみ子』今村夏子
   すごい。後味がすごい。あみ子の目からみた世界を感じる一方で周囲との隔たりもひしひしと感じる。読んだ後に映画もみにいった。大沢一菜さんの演じるあみ子、良かった。そして尾野真千子の号泣するシーンも。ただとても印象深く好きな場面が少し変わっていたりこう撮るのかと思ってしまう所も個人的にはあったので、映画だけみた人には小説読んでみてほしいな。他2篇も好きだった。

『ペーパー・リリイ』佐原ひかり
   たまたま13日の迎え盆に読み、おおっと思った。夏にすっと入り込んでにやにやするのにぴったりな作品。爽快で鮮やかで適度に重たい。結末にくる、してやられた感もこのくらいがいい。人は徹夜明けのうどんのために死ぬのをやめたりもする。

『女が死ぬ』松田青子 
   53の掌篇集。「「女らしさ」が、全部だるい。」と帯にあるけれど「女らしさ」というかそれだけじゃなく固定観念、常套句、あらゆる名詞への決まりきった印象、にストップをかける文章たちだと思う。ので私はフェミニズム小説かどうかはうーんとなった。スカッとはしないけどとっても面白い。

『流浪の月』凪良ゆう
   色んなところで絶賛されていたのでとても楽しみにしていた作品。でも、私には分からなかった。何故その人物がそうであることにその条件がいるのか、とか何故その道ばっかり描かれるのか、とか色々もやもやしてしまって。これは私の歪んだ読み方なのかな……。別に重荷を課さなくてもいいじゃんと思ってしまうのよな。

『夜長姫と耳男』坂口安吾
   短編集のうちのひとつ。読む前は坂口安吾って『堕落論』のイメージで固められていたからこんな面白い作品あったんだ!となったけど、そういや『桜の森の満開の下』もそうじゃんね。夜長姫がとことん恰好いい。最後まできちんと続く姿がとてもいい。

   

   『夏物語』を読んだのがもう1年前か~となんともいえない気持ちになる。今年も新しく好きだと思える作家さんにちらほら出会えて嬉しい。







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