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レジリエンスの意味を確認する

 「ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワーク」は、質問集です。質問に答えて、その回答を評価することで、強みと改善の機会を特定します。強みを活かして改善に取り組むことで、組織は競争力を高めることができます。
 ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークでは、重要な言葉は主要用語集に定義して使用します。

 ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークの最新版2021-2022年版には、新たに「レジリエンス」という言葉が登場します。ボルドリッジではこの「レジリエンス」を次のように定義しています。

レジリエンス(Resilience, 回復力)
(1) 災害、緊急事態、その他の混乱を、予測し、それに備え、そこから回復し、 (2) 災害が発生した場合に、働き手と顧客のエンゲージメント、サプライ・ネットワークおよび財務の業績、組織の生産性、地域社会の幸福を保護し、強化する、組織の能力。
出典:Baldrige Key Terms / NIST、翻訳:筆者

 注目すべきは、この(2)です。

 通常、「レジリエンス」の意味としては、(1)だけで十分です。しかし、ボルドリッジでは、さらに、(2)を追加しています。

 そこにはまず、自組織だけでなく、顧客やサプライネットワーク(サプライチェーンの拡張)、社会の視点があります。組織が自ら回復するだけでなく、顧客はもちろん、サプライヤーやパートナー、さらには地域社会も含めて回復することを重視しています。

 また、それが単に、災害から復旧する(元の状態に戻る)のではなく、顧客エンゲージメントや、サプライネットワークとして提供している成果や財務成果、生産性、地域社会に対する影響も、以前よりもより強固にする機会と捉えていることです。

 災害が起こる前と同じ状態に戻るのではなく、それをチャンスとして、災害後の新しい世界で、一段高い状態に移るということです。いまのコロナの時代に、求められることです。

 以上はあくまで主要用語集にある言葉の定義から得た気づきです。ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークは、それをどのように実現するかが示されています。

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 ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワーク2021-2022版は、2020年12月21日に公開されたばかりで、読み解くのはこれからですが、こうした観点を持って中身を見て行きたいと思います。ワクワクする気付きがあったら、またこの場で共有していきます。

 ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークの要約版、ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダーは日本語で読めます。主要用語集もついています。
 「ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】」は、米国NISTのウェブサイトからダウンロードできます。下方の Non-English Versions / Japanese を参照ください。英語版とページ、形式を合わせてあり、対訳版としてもご欄いただけます。

  

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