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おもてなしの本質

おもてなしは日本の文化、価値観で、世界的にも知られるようになって来ました。しかし、その語源にも諸説あるように、それが何であるか、おもてなしの本質は何か、というと様々な説明がなされています。(例えば「おもてなしの本質」でWeb検索)

おもてなしは英語ではホスピタリティ(hospitality)と訳されることが多くあります。

星野リゾート代表の星野佳路氏が講演で話されていた一つの解釈は、「ホスピタリティ」との違いで「おもてなし」を説明したもので、それを伺った時、すっと胸に入って来たのを覚えています。(以下は、聴講メモより)

ホスピタリティ(西洋のおもてなし)
サービスを受ける側と提供する側には主従関係のようなある種の上下関係がある(サービス受ける側が(人)、提供する側が(者))
お客様(サービスを受ける側)の要望を満たす、期待に応える

おもてなし(日本のおもてなし)
サービスを提供する側と受ける側は基本的に対等(主客関係
(サービスを提供する側が(人)、受ける側は(人))
主人が客人にぜひ体験・体感して欲しいもの・こと(こだわり)を提供する

私はこの解釈から、ボリドリッジ核となる価値観、かつての「顧客主導の卓越性」とそれから進化した「顧客に焦点を当てた卓越性」の違いに似ている、世界のサービスの考え方も、ホスピタリティからおもてなしに進化していると感じています。

顧客主導(Customer-driven)は、お客様が主役で、お客様の要望や期待が出発点にあり、提供する側は、それを把握し理解し、お客様の期待に十分に応える、あるいは時にそれを超えることで、お客様満足、その先にある顧客ロイヤルティの獲得を目指します。

顧客に焦点を当てること(Customer-focused)は、もちろんお客様を中心に置いて製品やサービスを考えることに違いはありませんが、お客様に常に目を向けて、何をすればお客様に喜んでもらえるかを考えて(考え抜いて)、どちらかと言えば、提供する側が主体で製品やサービスを提供するようなニュアンスがあります。

例えば、iPhonはお客様のニーズ調査の結果生まれたものではありません。Apple社から提供されて初めて、これが欲しかったものだと世界が気づきました。


補注
ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークは2年毎に(2008年までは毎年)最先端の成果を取り入れて改訂されており、そこに含まれる「核となる価値観と概念」もその数は変わらないものの、中身は変化(進化)してきています。
2001年から2014年まであった「顧客主導の卓越性(Customer-driven Excellence)が2015-2016年版での改訂から「顧客に焦点を当てた卓越性(Customer-focused Excellence)に代わりました。

ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワーク(Baldrige Excellence Framework)の要約版、ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー(Baldrige Excellence Builder)は日本語で読むことができます。
「ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】」は、米国NISTのウェブサイトから無償でダウンロードできます。
下方の Non-English Versions / Japanese を参照ください。英語版とページ、形式を合わせてあり、対訳版としてもご欄いただけます。


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