見出し画像

イノベーション再考

ボルドリッジ・フレームワークは、イノベーションを生み出す組織を作り出す仕組みです。

ボルドリッジのイノベーションをいま一度振り返ってみます。

イノベーション
プロセス、製品、組織、あるいは、社会の幸福を改善(向上)し、利害関係者に新しい価値をもたらすために、意味のある変更を加えること。
Baldrige Key Terms / NISTより。翻訳筆者)

イノベーションは、そのもの、または、その応用の仕方に新規性のある、アイデア、プロセス、技術、製品、ビジネスモデルなどを採用することです。

もちろん、上の定義から、「新規性」があるだけではだめで、「利害関係者に新しい価値をもたらす」ものでなければなりません。

イノベーションの成果(outcome)は、結果や製品、プロセス、あるいは社会の幸福の、不連続すなわち「画期的な」改善です。

一般には。このイノベーションの成果そのもの、製品やサービス、プロセスを指して、イノベーションとよぶことがあります。

例えば、iPhonは、「電話と携帯音楽プレイヤーとインターネット通信機を一つのデバイスで連携的に実現する」というイノベーションですが、iPhonそれ自体をイノベーションであると言ったりします。

イノベーションには、支援的な環境、戦略的機会を特定するプロセス、およびインテリジェントリスクを追求する意欲が必要です。

注記 
インテリジェントリスク(intelligent risks)
その機会によって得られる可能性のある利益が、その機会を活かさなかったときに組織の将来の成功に対して及ぼす可能性のある害や損失を上回る機会のこと。(2021-2022 Baldrige Excellence Frameworkより。翻訳筆者)

支援的な環境は、イノベーションを許容し推奨する環境です。
イノベーションのために許容する必要のある重要なものは2つあります。「変化」と「失敗」です。

慣れ親しんだ仕事のやり方を変えたり、自分の考えと異なる意見を受け入れることは、多くの人や組織が苦手とするところです。ボルドリッジは、組織に継続的改善の仕組みを入れ、それを日常的な習慣とし、組織文化とすることによって「変化」を許容する環境を作ります。改善はそれまで行っていたやり方や考え方を変えることで生まれます。小さな「変化」を継続的に行う仕組みです。

失敗したくない、という思いは、多くの人、組織にあります。仕事上で失敗すると評価が下がる、というのであれば、猶更です。しかし、新しいことに取り組むには失敗はつきものです。大切なのは、失敗から学ぶことです。それが致命的な損失を組織に与えるのでなければ、チャレンジを認め、もし失敗してもそれから新たな知見を得て、次に生かします。
ボルドリッジでは、挑戦する課題に対してリスクを評価します。そしてそれがインテリジェントリスクであれば、それに取り組みます。

成功した組織的なイノベーションは、知識の共有、実施の決定、実施、評価、学習の繰り返しの結果です。

組織でそれまでの知見を共有し、取り組むべき機会のリスクを判断し、それがインテリジェントリスクであれば、その機会に取り組むことを決定し、実際に取り組み、その結果を評価し、その結果から新たな学びを得ます。それを繰り返して、成功につなげます。あきらめずに繰り返し取り組むことも大切です。

イノベーションは、あらゆる規模、業種、成熟度の組織に存在する可能性があります。場合によっては、組織の起源はイノベーティブなアイデアや、技術、製品、あるいは、組織構造やビジネスモデルの変更です。

組織活動の結果イノベーションが生まれるばかりでなく、イノベーションが組織の起源である場合もある。
Amazon、Uber、Airbnbなどはまさしくその例といえます。

※太字は 2021-2022 Baldrige Excellence Framework, Key Terms より引用。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?