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利害関係者のニーズのバランスをとる

 評価基準の基本的要求事項や個々の質問に答える前に、ボルドリッジの「組織プロフィール」の質問を用いて、あなたの組織の基本的な情報を整理しています。
 P.1b(2)顧客と利害関係者で組織の顧客とそのニーズを尋ねました。それに続いて、P.1b(2)顧客と利害関係者 つづきで組織の利害関係者とそのニーズを尋ねました。
 2つに分けて尋ねましたが、ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークでは、これらは組織プロフィールの中の一つの(一組の関連する)質問です。

 それは組織に求められるのが顧客の満足だけでなく、従業員の満足、株主の満足、さらには地域社会の満足など、顧客を含む利害関係者すべての満足へと広がってきたためです。組織がその満足を追求する相手として、これらは一つだからです。

 例えば、「お客様第一」と言っても、その満足が従業員の犠牲のもとにあってはいけない。逆に、従業員の幸せを一番に考えると言って、お客様が軽視されるのでもいけない。両方の満足を追求することが求められるのです。
 幸いにして、エンゲージメントの高い従業員が、お客様のエンゲージメントを高めることが、ギャラップ社の調査結果などで実証されています。この結果は、あくまでエンゲージメントの高い従業員であって、満足度が高い従業員ではないことは、注意が必要ですが、従業員のエンゲージメントを高めることが、顧客満足につながることは言えそうです。
 両方を同時に追求することが可能であることを示しています。
 さらには、エンゲージメントの高い顧客はあなたの組織と長期的な関係すなわち継続的な取り引きを望み、企業であれば、株主にも継続的な利益をもたらすことになります。

 もう一つの背景は、お客様の求めるものが、モノからコトへ、さらに体験から心へと変わってきているためです。消費者から生活者へ、個性を持つ人へと変わって来たとも言えます。自然との共生や癒しなどが求められ、自身をとりまく社会にも関心を持つようになりました。
 このため、組織も社会満足を意識することが求められるようになりました。
 顧客満足から社会満足へ、そのために、顧客、地域社会を含む、あなたの組織の利害関係者すべての満足のバランスをとることが重要になってきています。

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 すべての利害関係者に対する価値の伝達、創造、およびそれらのバランスをとることは、経営幹部、リーダーの役割です。これについては、リーダーシップの質問のなかでその方法を尋ねます。


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