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ボルドリッジ賞創設の経緯を概観する

 マルコム・ボルドリッジ国家品質賞およびその審査基準を含むフレームワーク、ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークは1987年に米国で創設されたことは、このnoteで度々紹介いたしました。

 先日の経営産業ビジネススクール「二水会」第10講座は、「経営品質の概念と知の経営の本質!」というテーマで開かれ、その中で高梨智弘講師が、ボルドリッジ賞をベースに1995年に創設された日本経営品質賞も含めてボルドリッジの歴史を話されていたので、一部をここに紹介します。

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 これは高梨講師のスライドの一枚で、日本経営品質賞を中心に紹介していますが、マルコム・ボルドリッジ国家品質賞(MB賞)の生い立ちも示しています。

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 シューハート博士は、不良が出たら取り除く、すなわち検査で不良品を取り除いて市場に不良品が出ることを防ぐ、というやり方から、製造を工程に分けて、工程の状態を管理して、不良品がでない(作らない)ようにするというふうに変えていきます。これを統計的品質管理と呼びました。

 製造品の品質に問題の多かった日本の指導に、米国からデミング博士を招聘し、デミング博士が日本に統計的品質管理(SQC)を広めました。米国よりも日本でその活用が進んだと言われています。QC7つ道具など、QCの管理手法や、QCサークルなどの現場でのグループ活動が広まりました。
 デミング博士に少し遅れて、ジュラン博士も日本に来て、SQCを全階層に活用し、経営の道具としました。

 さらに品質管理に優れた企業を表彰するデミング賞が誕生し、多くの日本企業が品質管理に取り組み、日本の品質が世界で認められるようになりました。

 「ジャパン・アズ・ナンバーワン」という本も出て、米国では日本やドイツなどに学ぶ動きが出て、結果、米国でMB賞、パフィーマンスエクセレンスプログラムが生まれました。
 製品やサービスの品質から、経営全体の質に、そしてそれを継続的に改善して高めていくプログラムに拡張されました。(日本では「経営品質」と呼んでいます。)

 そしてそれをまた日本が学んで、「日本経営品質賞」を創設しました。

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  その他のMB賞の軸の一つは、ベストから学ぶという考え方です。ベンチマーキングは、米国ゼロックス社が発祥です。
 MB賞は、その受賞企業の優れたやり方を公開し、米国の企業が学べる機会となっています。

 実際、これまでの受賞企業がボルドリッジ審査基準に沿って自社の活動や状態を記した報告書は、その要約版がボルドリッジのウェブサイトからダウンロードできるようになっています。

 日本と米国だけを見ると最初の図にあるように、
米国(SQC)→日本(デミング賞)→米国(MB賞)→日本(日本経営品質賞)
となっています。

 講義では、さらにその先、「知の経営」にまで話を進めています。

★★

 経済産業ビジネススクール第10講座では、MB賞と日本経営品質賞の異動、また、これまでの日本経営品質賞受賞企業の紹介、そして「知の経営」について話がありました。

 「知の経営」については、経済産業ビジネススクール第11講座で深掘りされる予定です。

第11講座 2021年7月14日
「野中郁次郎ナレッジマネジメントの進化系『知の経営』とは?」
⇒知識を知恵に、知恵を知心に昇華させ利活用できるか?

第12講座 2021年8月11日
「新しい内部統制の考え方と800の評価基準の本質!」
⇒ 内から外へ、統制の意味は何?どこまで巻き込めるか?

経済産業ビジネススクールについては
https://www.facebook.com/KSBS.JP/






 



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