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自動データ分析の威力

 「FB利益2倍、1兆円超に 4~6月、広告収入大幅増」という記事が地方紙にも片隅に載りました。
 米交流サイト大手フェイスブック(FB)が発表した2021年4~6月期決算で、純利益が前年同期の約2倍の103億9400万ドルと大幅増益、主力の広告事業が貢献した。実際、広告事業の売上高は56%増、広告の平均単価が47%上昇し、配信数は6%伸びたとあった。(2021/7/29付北日本新聞朝刊より)

 実はこの売上に私も貢献していました。月に一度開いている定例セミナーの5月と6月の講座の案内に、初めて、FBの広告を使ってみました。

 FBの広告は、実名で登録されているユーザー一人ひとりの基本情報に加え、興味・関心などの情報をもとに広告を掲載する相手を選んで広告を打つので、様々なプラットフォームの中でもトップクラスのターゲティングの精度であると言われています。

 実際、これまでイベント投稿に対して反応が数件だったところが、この期間にFB広告2件で、「リーチ」1,544、「投稿のエンゲージメント」86、「リンクのクリック」30と格段の成果がありました。

 顧客情報を収集し分析して、行動につなげることは、ボルドリッジでも重要なプロセスとしています。
 FBでは、ITの力を借りて、それを自動で行っているわけです。
 広告を依頼する側からすれば、非常に有効なツールと言えます。

 ユーザーからしても、自身の興味・関心のある情報(広告)が得られると前向きに捉えることもできます。しかし見方を変えると、そうした情報に導かれる、操られていると捉えることもできます。
 それでも、企業が良いと思うものを薦めるという意味で、悪意のない行為と見ることはできます。

 FBについては、漏洩した個人のデータによって、政治をも動かす事件がありました。ケンブリッジ・アナリティカ事件では、世界中のFBユーザ最大8700万人の個人データが、選挙活動に利用され、投票行動の操作実験が行われたとされています。それには、2016年のEU離脱をめぐるイギリス国民投票、トランプ前大統領が当選したアメリカ大統領選挙が含まれています。
 ここではFBの投稿履歴や友達などを分析して、支持政党などの個人の属性を予測することができ、その結果をもとにして、個々の投票者にパーソナライズされた広告を送るなどして、その行動に影響を与えたとされています。

 一人のFB利用者の平均68の「いいね!」の履歴から、白人か黒人かは95%、性別は93%、ゲイであるか否かは88%という高い確率で予測することができます。さらには、独身か既婚か、喫煙や飲酒の有無、宗派や支持政党までも予測可能という結果が示されています。

 これは高度なデータ分析ですが、現在の技術を用いれば、個人の些細なデータからだけでも、一定の個人像を浮かび上がらせることができてしまいます。

 顧客データを収集・分析し、組織の活動に結びつけることは、ボルドリッジにおいても当たり前の活動ですが、分析・活用の目的、手段には十分な配慮が必要ということがわかります。

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 タイトル画像は、米フェイスブック本社に掲げられたロゴ=2020年4月、米カリフォルニア州メンロパーク(AP=共同)
 記事は、「プライバシーという権利ー個人情報はなぜ守られるべきか」(宮下紘著、岩波新書)から多くの情報をいただきました。


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