見出し画像

人生ってイノベーションだよね!!

ボルドリッジのひとつの目的であるイノベーションについて理解を深めるために、色々な文献に当たっている中で、興味深い本があったので紹介します。

国家資格キャリアコンサルタント&経営士の後藤昭夫氏著「人生ってイノベーションだよね!!」(2021年、文芸社刊)。

著者からの「日本の現状をあぶりだし、今の日本に足りないもの、企業に足りないもの、個人が100年生きていくために必要な知識、キャリア形成の仕方、未来に向けての考え方などを紹介する。――「困難を乗り越えるには、イノベーションを起こしつづけるしかありません。『自分で決める! 自分で選び取る! 』という意識をもって、進んでいきましょう。」というメッセージにあるとおり、キャリアコンサルタントの本ですからどちらかと言えば個人のキャリア形成に関する提言のようでありながら、企業への提言も含む多次元の一冊になっています。コロナ禍も踏まえたまさに今の時代への提言です。

現状の企業と個人の問題点を整理した序章から、読み進めるごとに、個人のキャリア形成を中心とした課題と提言が続きます。若年世代からシニア世代まで世代ごとに課題とその対応策を示してくれています。

この中でまず目をとめたのは、「経営者こそキャリアコンサルタントになるべき」という点です。経営者は「人を使う」というより「社会から人を預かっている」という意識を持って、働く人それぞれの強みを知り、その力を引き出し、適材適所に配置し、会社の経営に活かしつつ、各個人のキャリア形成を支援することが重要としています。

キャリアコンサルタントになるべきという点は、キャリアコンサルタントである後藤氏ならではの発想と思いますが、働き手への経営者の責務については、ボルドリッジでも同様のことを述べています。

当然ながら、働き手に焦点を当て、働き手一人ひとりの能力開発と組織のニーズをマッチングさせ、活用するのは組織、すなわち、リーダーの仕事です。ボリドリッジでは、その上でさらに、「先見の明のあるリーダーシップ」においては、働き手に高い期待を設定することが重要としています。ここでは、実行責任に加えて結果責任も期待しています。それは無暗に高い目標を与えて、責任も丸投げ、というようなことではなく、その先には働き手のエンゲージメントを高めるという目標があります。

ギャラップ社のQ12にあるように、自身への期待が明確であり、それが自分の仕事が重要だと感じせてくれること、また、自身の成長を後押ししてくれる環境があって、実際に自己の成長を実感できることが働き手のエンゲージメントの重要な要因となります。

この本に戻れば、もう一つ非常に興味を持ったのは、この本のタイトルにもあるとおり、人生においてもイノベーションが重要であるという視点です。
後藤氏は「イノベーションを起こしつづけ、最高の人生を送る」ことをキャリア支援のテーマとされているとあります。向かう先は、人それぞれの夢の実現です。

過去のやり方にとらわれず、習慣を変え、新たな感覚で新たな世界、新たな時代に触れる。そして、知らなかったものもどんどん取り入れ、新しいものを生み出し続ける。

それを人生におけるイノベーションと呼んでいます。

ボルドリッジがイノベーションに求めるものも、まずその土台として、変化を捉え自らを変えていく習慣づけです。ボルドリッジでは継続的改善により小さな変更で成功体験を積み重ねることで、それを習慣化していきます。
そしてイノベーションの先にあるのは、ミッション、ビジョンの達成です。

この本にはほかにも、強みの方程式に愛をプラスする、人生100年時代を迎えて人生を4つのステージに分けて新たな生き方を考える、など、著者ならではの提案がいくつも出てきます。

流れるような文章で、読み流せばさっと読み終えてしまう本ですが、ところどころ立ち止まって考えながら読み進めることをお薦めします。

★★

文中「ボルドリッジ」は、米国発の経営のフレームワーク、ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークのことです。その要約版、「ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】」は、米国NISTのウェブサイトからダウンロードできます。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?