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Principles of Family Medicine

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家庭医療のprinciples、および重要概念について紐解いていく。
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#9Principles

Principle 9: 資源を配分する

Principle 9: 資源を配分する

Principle 9
家庭医は資源を管理する役割を担う。病院への入院、精査、処方、専門医への紹介など、資源のある程度の部分を管理できる。資源は有限であるため、家庭医は個人とコミュニティの双方の利益のために、資源を管理する責任を負っている。時に個人の利益とコミュニティの利益が衝突することがあり、ここに倫理的な葛藤が生じることになる。

McWhinney, I. and Freeman, T.,

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Principle 8: 「その人」を診る

Principle 8: 「その人」を診る

Principle 8
家庭医は患者の主観的・個人的な側面を扱う。医療は長い間、過剰に客観的で実証主義的なものとなっていた。家庭医は、感情への感受性と、関係性への洞察によって、こうした医療にバランスをもたらす。これには自分を含めた感情に対する知恵が必要になる。家庭医療が自己省察的な医療である必要性がここにある。

McWhinney, I. and Freeman, T., 2016. Mcwhi

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Principle 7: 患者を家で診る

Principle 7: 患者を家で診る

Principle 7
家庭医は患者を患者自身の家で診る。様々なライフイベントが生じる場所が家である。出産、死、闘病。こうしたイベントに家族とともにそこに居合わせることは、患者とその家族についての深い理解を身につけることに繋がる。家を知ることは、患者のillnessがなぜ・どのように生まれているかについての繊細なニュアンスを知ることに繋がる。近年の病院医療は技術面や効率面での利点があるものの、こう

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Principle 6: 患者と同じ地域に暮らす

Principle 6: 患者と同じ地域に暮らす

Principle 6
家庭医は患者と同じ地域で生活することが望ましい。患者に起こっている様々な環境的変化に気づくことができるからである。

McWhinney, I. and Freeman, T., 2016. Mcwhinney's Textbook Of Family Medicine. Oxford: Oxford University Press.

書の中では地域に起こっている土壌汚

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Principle 5: 自分をネットワークの一部とみなす

Principle 5: 自分をネットワークの一部とみなす

Principle 5
家庭医は自分をコミュニティにひろがる支持的ネットワークの一部とみなす。このネットワークには公式のものも非公式のものも含まれる。ネットワークの構成員は全体像を把握しないままに動くこともあるが、家庭医はこのネットワークを患者にもっとも役立つ形で機能させるという重要な役割がある。

McWhinney, I. and Freeman, T., 2016. Mcwhinney's

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Principle 4: リスク集団をみる

Principle 4: リスク集団をみる

Principle 4
家庭医は自分の診療対象を「リスク集団 (population at risk)」とみなし、個々の患者と集団の両方のことを考えなければならない。予防接種やチェックアップに来ている人たちと同じように、来ていない人のことも考えなければならない。

McWhinney, I. and Freeman, T., 2016. Mcwhinney's Textbook Of Family

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Principle 3: 受診を健康増進の場にする

Principle 3: 受診を健康増進の場にする

Principle 3
家庭医は患者と会うあらゆる場面を予防や健康増進の機会としてとらえる。

McWhinney, I. and Freeman, T., 2016. Mcwhinney's Textbook Of Family Medicine. Oxford: Oxford University Press.

Principle 1を思い出して欲しい。家庭医の患者に対するコミットメントには

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Principle 2: 病のcontextを理解する

Principle 2: 病のcontextを理解する

Principle 2
家庭医は病(illness)のコンテクストを探求する。アメリカの哲学者であるWilliam James (1958)は「物事を正しく理解するためには、その内側と外側の両方から観察し、そのあらゆるバリエーションについて精通しなければならない」と述べている。あらゆる病も、患者個人における、家族内における、コミュニティないしは社会における文脈から見てみない限り、十分に理解すること

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Principle 1: 患者にコミットする

Principle 1: 患者にコミットする

さぁ、それでは例の書からprinciplesを紐解いていこう。

"あるclinical disciplineに所属するメンバーは、何を知っているかではなく、何をしているかで分類することができる。したがって、この「何をするか」という行動を規定するprinciplesから考え始めると、家庭医が何を行う存在なのかが見えてくる。これから9つのprinciplesを紹介するが、どの1つをとっても家庭医療に

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