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Principle 3: 受診を健康増進の場にする

Principle 3
家庭医は患者と会うあらゆる場面を予防や健康増進の機会としてとらえる。

McWhinney, I. and Freeman, T., 2016. Mcwhinney's Textbook Of Family Medicine. Oxford: Oxford University Press.

Principle 1を思い出して欲しい。家庭医の患者に対するコミットメントには終わりがなく、その関係性は患者が健康な時から始まる場合もあるのである。家庭医がコミットするのは患者なのであって症状や疾患ではないとすれば、予防や健康増進に常に貢献するという作業は当然のこととなる。

ただし、日本では予防医療にも健康増進にも、保険診療は適用されない(特定健診結果に対する動機付け支援などは保険診療と別の枠組みで評価される)。また、一般的に外来患者が多く、一人の方に当てられる時間も限られている。この観点から、予防や健康増進を行うためには、医師が診察室の中だけで完遂させるというよりは、多職種によるチーム単位で取り組む必要がある

ちなみに、誰にどのような予防が推進されるかという一般的な枠組みは下記のような資料から検討できる。

また、こうした際に精神・社会的な健康状態がどのようになっているかについては、意外と見落とされやすい。日頃から近況を話してもらえるような関係性を作っておくことはこうした面からも重要となる。この関係性なしにこのテーマを根掘り葉掘り聞き出すのは好ましいやり方とは言えない。

最後に。予防医療、健康増進の押し売りにも注意が必要である。予防や健康増進の「意味」というものは、人それぞれ違うものである。もし健診を受けるつもりがないという返答があれば、なぜ受けるつもりがないのかを知ろうとしよう。そこには思いもしない理由や、了解可能なストーリーが隠れているかもしれない。年齢や性別から推奨される予防を画一的にすすめる前に、その方の健康感、価値観、背景などを知ろうとするプロセスが重要である。そして、この部分があるからこそ、予防や健康増進が果たすその方にとっての「意味」について、こちら側も言及できるようになる。

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