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「ファミリーキャリアって? -いまこそ、家族のキャリア戦略を考えよう-」イベントレポート

 グロービス・ワーキングペアレンツ・クラブ幹事の北(2018期東京校)です。7月30日(金)に実施した「ファミリーキャリアって? -いまこそ、家族のキャリア戦略を考えよう-」のイベントレポートをお届けします。

 「ファミリーキャリア」という言葉を耳にしたことはありますか?核家族化の進む現代の、子を持つ家族にとって、パートナーとのキャリアをどうバランスさせるかは、それぞれの自己実現のためにも有効な論点です。今回はイベントの中で3名の登壇者がご自身のファミリーキャリアを共有してくださいました。普段なかなか聞く機会の無い他のご家族の事例を通して、ご自身にも引き寄せできる何かの気付きを得ていただければ幸いです。それでは進めてまいります!

モデレーターは、イベントの4日前に第一子が誕生し、パパになったばかりの佐藤正幸さん(2020期東京校)が担当しました!

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ファミリーキャリアの5つのモデル

最初は、ハーバードビジネスレビュー(HBR)の記事 『共働き夫婦の人生を充実させるには、「家族としてのキャリア」計画が必要である』 を元に佐治洋子さん(2020期東京校)が、ファミリーキャリア5つのモデルについてのレクチャーを行いました。

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ファミリーキャリア5つのモデルについて、HBRでは以下のように説明されています。

シングル・キャリア
夫婦の1人が、すべてを決定づけるキャリアを持っていて、配偶者と子どもはそのキャリアに従う。
リード・キャリア
シングル・キャリアから派生したモデル。一方のキャリアが明らかに支配的で、夫婦の生活の場所や、転居先を決定づける。パートナーは、パートタイムや融通のきくフリーランス、あるいは教職やオンライン作業などのキャリアを持っている。
交替型キャリア
それぞれが次の昇進や地理的な移動に対する優先権を持ち、パートナーは役割の調整に合意する。
並行型キャリア
それぞれが似たような、非常に有力なキャリアを持つ夫婦で、「パワー・カップル」と呼ばれることもある。互いに補強し合う職業的ネットワークと知識を持ち、互いのキャリアを強化し合っていることが多い。
補完型キャリア
仕事の性質、キャリアフェーズ、繁忙期、時間帯など、多様性のある夫婦のキャリアにおける年間あるいは人生の段階において、両者の大変な時期が重ならない。

 特にライフスタイルを一変させるような「子どもの誕生」や「親の介護」などのイベントに直面した際に家族の在り方に向き合うことになりますが、人生を長い視点で捉え、予め話し合っておくこともできます。ファミリーキャリアにはさまざまな形があることを知り、当事者同士が納得したキャリアを選択することが最も重要です。

パネルディスカッション

続いて3名のパネラーによるディスカッションを行いました。

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パネラー一人目:中里聡一郎さん(2020期大阪校)

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 中里さんは昨年のグロービス・ワーキングペアレンツ・クラブでのワーママはるさんのイベントをきっかけに、目指すべきミッション、ビジョン、バリュー(MVV)を家族で話し合い、その後も週次で家族ミーティングを実施しているそうです。アジェンダは教育やお金など多岐に亘ります。そして、家族ミーティングをきっかけにパートナーは大きなキャリアチェンジを決意し、中里さんがグロービス卒業後に、パートナーがアクセルを踏むという交替型キャリアが、現時点での最適解だという結論に至ったそうです!その他にもお子さんの習い事やどんな生き方をしてほしいかなどを話し合ったりするそうですが、家族のMVVを決めてからは家族の目線が合い、スムーズな話し合いが出来ているそうです。円滑なコミュニケーションのためのルールは「お互いのダメ出しをしない」「愚痴を言わない」ことがポイント。その上でどういう家族を経営していくかを定期的に相談しているそうです!

パネラー二人目:佐治洋子さん(2020期東京校)

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 佐治さんは新卒1年目に13歳の年上のパートナーと結婚し、その後妊娠出産を経て職場復帰してから、子どもを育てながら社内でステップアップをしていく難しさと向き合い続けていたそうです。パートナーとの年齢差があることで、先々自力で生きていく必要性が出てくると考えた佐治さんは、お子さんが小学校4年生のタイミングで大きなキャリアチェンジを決意し、最初は夜勤などもある時間制約の多い仕事に飛び込み、仕事にフルコミットするようになりました。佐治さんの本気度を感じたパートナーは、今まで佐治さんが全て担っていた家事を引き受けてくれるようになりました。家族の協力もあり、佐治さんは組織内での順調なステップアップを果たすことになりました。ファミリーキャリア5つのタイプで見ると、「夫のシングルキャリア」→「並行型キャリア」→「妻のリードキャリア」など、その時々の家族の状況に合わせて柔軟にファミリーキャリアの型を変えてきたそうです。

パネラー三人目:西潟 裕生さん(2019期仙台校)

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 日系金融機関の同期として出会った西潟さんとパートナーは、結婚を機に、別々の支社で働くために別居を余儀なくされていました。パートナーがひとりで子育てを担い、精神的な余裕を無くしている状況に加え、西潟さん自身は子育てしたいのに長時間労働を強いられる職場環境に課題意識を感じ、夫婦間コミュニケーションを重ね、お互いの希望や、これから取りうるキャリアの選択肢を構造化し、検討した結果、パートナー側の社内キャリアを「ガチる」(優先する)ことを最適解として判断されたそうです。ご夫婦の戦略が功を奏し、パートナーは昇進できました。一方西潟さん自身は時間制限の少ない部署に異動し、自分自身が家事育児主体の共働きの形をとりながら、起業準備を進めているそうです。

 登壇のみなさんが直面した課題や、それをパートナーと乗り越えるための意思決定など、三者三様のファミリーキャリアをお聞きし、「ファミリーキャリア」の奥深さを実感しました!

グループディスカッション

 パネルディスカッションの後はブレークアウトで参加者が事前に取り組んだファミリーキャリアのワークシートを共有し合い、意見交換を行いました。グループワーク後には参加者から「ワークシートの過去は埋められるが未来はなかなか描きにくい」という意見や、「パートナーとの圧倒的なコミュニケーション不足に気付いた」という意見を全体の中で共有していただきました。

参加者の感想

 イベント終了後の参加者アンケートでは
「家族と話す時間をあえてつくり、企業経営と同じでミッション・ビジョン・バリューを決めると良い。ファミリーキャリアを考えることの大切さを気づくことができました。」
「夫婦のキャリアの選択に正解はない。ビジョンを共有できていることが重要。」
「一番印象に残ったのは、女性側のキャリアがメインになる時は、確実に家族が全面的に協力してくれているので、全力で仕事を行うことができている。ということを改めて感じました。」
「これを機に、パートナーと話す機会を創りたいと思いました!」
など、参加者の皆さんから前向きな感想を寄せていただきました。

最後に

 今回「妻」「夫」それぞれの参加者がいる中で「ファミリー」という共同体のキャリアに、立場関係なく真剣に向き合うみなさんの姿勢がとても印象的でした。「ファミリーキャリアに正解なし」。双方が納得して協力し合えることが、家族も巻き込んだ豊かな人生に繋がると確信し、私自身も家族の週次ミーティングを取り入れるべく、夫と予定を決めたところです!今回のイベントが少しでも多くのみなさんにとってファミリーキャリアを考えるきっかけになれば幸いです。


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