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Goodpatch Anywhere Live!! ver0.1 フルリモートデザインチームの働き方(1)

2020年2月12日に完全オンラインで行われたイベント「Goodpatch Anywhere Live!! ver0.1 フルリモートデザインチームの働き方」。その様子を2回に渡りお届けいたします。
今回は、事業責任者である齋藤恵太の講演部分を公開します。
使用しているツールやその活用法、チームでデザインを進める意図など、Anywhereがどのような組織なのかを知っていただける内容となっています。

登壇者プロフィール
齋藤 恵太 (Keita)
制作会社を経て、2013年にグッドパッチにジョイン。代表的事例はマネーフォワード iOS(2014)やFiNC Technologies のアプリ・サービスデザイン。コミュニケーションを重視し長期的に案件に関わるスタイルで数々の組織の成長を体感、良いプロダクトやサービスを生み出す組織について研究しています。2018年10月よりリモートワークの新規事業 Goodpatch Anywhere を事業担当者として立ち上げ。

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Goodpatch Anywhere事業責任者の齋藤(恵太)です。よろしくお願いします。僕は、6年間Goodpatch(渋谷)でクライアントワークを行なっていました。デザインのご依頼がきてお客様とデザインを作り上げていく仕事です。事例としては、Money FowardさんやFiNC Technologiesさん、日経新聞社さんなどを担当していました。そういった経験を経て、2018年に事業責任者としてGoodpatch Anywhereを立ち上げました。


Goodpatch Anywhere概要


まずは「Goodpatch Anywhereってなんだ」というところからお話したいと思います。
この組織は、Goodpatchのデザインパートナー事業の一つとしてはじめました。「偉大なプロダクトは偉大なチームから生まれる」というスローガンを掲げ、リモートチームによるコラボレーションデザインに取り組んでいます。
Goodpatchと何が違うのかというと、地方のお客様が多かったり、メンバーも渋谷のチームに依存せずゼロから新しく採用したりして、よりアグレッシブに実験をしている組織ということです。また、その実験をフルリモートでやっているということもGoodpatch渋谷と大きく違います。

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Anywhereは一昨年(2018年)の8月にメンバーの募集を開始し、一年と数ヶ月の段階で所属メンバーは100名を超え、そのうち30名ほどが実際に案件に取り組んでいます。
本日の登壇者からも分かるように、所属しているメンバーも、北は北海道から南は沖縄、さらには海外まで、かなり散らばって点在しています。
チームでテクノロジーを使い倒し、組織的ミーハー力を発揮して様々なことを実現していきたいと思っています。

使っているツールは、デザインツールはFigmaテキストメモの共有はScrapboxデジタルホワイトボードのMiroコミュニケーションにはSlack、Zoom、Discordです。

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最近はDiscordでのコミュニケーションも盛んに交わすようにしています。
みなさんお分かりかと思いますが、ずっとZoomを繋いでいると疲れていまいますよね。そこを埋めるためにボイスチャットのDiscordを使用しています。
既存のツールをうまく組み合わせることで、よりコミュニケーションコストを下げる取り組みです。

Figmaについては基本的にUIデザインをやっている方であれば、使い勝手の良いツールだと思います。それ以上に、複数人でコラボレーションをして物事を構築していくという点において、今の所Figmaに勝るツールはないのかなと感じています。Anywhereではかなり使い倒していますね(笑)。

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パートナー(クライアント)は、大企業からスタートアップ企業まで非常に幅が広いです。残念ながら現段階であまり詳細はお話しできませんが、メガバンクからスタートアップの新規事業、電子書籍のアプリやフィンテック、面白そうなものとしては宇宙関連のお仕事などもやっています。正直、僕が想定していたよりも大きい規模の案件が増えたなと感じています。

メンバー構成について

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Anywhereでは、一つのプロジェクトで5〜6人がチームを組んで案件に取り組んでいます。主にはUX/PMとUIが半分ずつですが、そこにエンジニアが入る場合も多々あります。
Goodpatch渋谷だと一人が一つの案件に対して100%コミットするのが前提ですので、2人くらいからチームを組むことが多いのですが、Anywhereの場合は倍の人数が案件に参加することになります。
ただし、全員が100%コミットしているわけではありません。例えば1/2コミットのや1/3コミットのメンバーもチームに入るので、自ずと人数が多くなるのです。そうすることで、お互いに足りない部分をカバーしあえますし、それぞれの良いところを発揮しやすい環境になると考えています。

時には週に1回のような関わり方もあり、柔軟にコミットしてもらっています。フリーランスの方や副業の方など、フルタイム雇用だと集められない多様性を生かしたいと思っているからです。
例えば、メインで会社に勤めながら、Anywhereは副業という方、自身で会社を経営していて、副業でAnywhereにジョインしている方もいらっしゃいます。
そうするとより能力の高い方、特殊な能力を持っている方に案件に関わっていただける。多様性を最大限に活かしたチームの組み方ができるのがこの組織のメリットだと感じています。

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一つのプロジェクトに複数人のデザイナーがいるという環境は、普通の会社ではあまりないのではないかと思います。
1つのチームにデザイナーが5〜6人いて、ディスカッションを重ねながらプロダクトを作っていく点はAnywhereの特徴の一つではないでしょうか。


ワンチームで進めるデザインワーク


パートナーともワンチームで物事を進めていきます。僕らは下請けとして投げられた案件に対して綺麗なものを渡すような進め方はしていません。
あくまでも「デザインパートナー」として一緒にものを作らせてくださいとお願いしています。ですから、依頼が来た時にはお客様がそのようなスタンスに対応いただけるのかということも加味させていただいています。

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パートナーですから、宿題として1週間に1回成果物を見せるような進め方ではなく、毎日ミーティングをし、その時のデザインをFigma上で一緒に見てデザインを作っていく手法を取っています。
このやり方は本当に隠し事ができないので、メンバーにとってはある種のやりづらさもあるとは思います。ですが、完璧なものを出したいという気持ちを一度抑えてもらい、リアルタイムでディスカッションしていくやり方に振り切っています。

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Anywhereにジョインしてくるメンバーでも、このようなやり方や、チームで動くということが初めてという方がほとんどです。
ナレッジを溜めているScrapboxにも「初めてジョインして不安だったこと」というページが作られるくらい、皆初めはドキドキしながらやっています

でも色々乗り越えてしばらくすると、デザイナーやめようと思っていた人がやめなくてよかったと言ってくれたり、「チームで働くなんてやだ!」と言っていたメンバーが「チームっていいね」と言ってくれるような状態になったりしています。


Anywhereではどのようにデザインを作り上げるのか


実際にどうデザインを作り上げているかという具体的な話になりますが、基本的にUIデザインは全てFigmaで行なっています。パートナーに渡すデータも、開発さんやエンジニアさんに渡すのもFigmaのデータです。これにより、常に最新版がFigma上にあるという間違いのない状態を作り出すことができます。バージョン管理とは別の世界が構築できるわけです。

加えて、案件の情報、例えば、コンセプトやターゲット、マーケティング戦略や作るべきメインの体験などを全てFigmaの同じページにまとめることができます。
すると、みんな作業をするときには必ずFigmaで作業するので否が応でも情報が目につくんですね。このような情報のファイルをローカルファイルで綺麗に作っても、ほとんど見ないなんてことが多々あると思います。
ですが、作業する場に貼っておくと自ずと目に入ります。スワイプするだけで簡単に基礎情報を参照することができるため、形骸化したUXワークを軽減することができるのです。

また、Anywhereでは夢を持ち寄る会(各自で理想だと思うUIを持ち寄る会)も行います。Figmaで作ったデザインを持ち寄り、こうしたらもっとよくなるのではというディスカッションをする会です。
これは特に、案件を進めていく中で、アイデアを発散させて収束させた方が良いタイミングで行うことが多いですね。

プロトタイプを使ったユーザーテストもFigmaで行なっています。Goodpatchではprottというツールを作っているのですが、AnywhereだとFigma上にプロトタイピングツールがあります。規模が大きくなるとカオスのようなリンク構造になることも多々ありますね(笑)。

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UXデザイン的なアウトプットもFigmaを使います。ユーザー体験をストーリとしてまとめたり、体験の設計を見る時などもFigma上でディスカッションをします。
最近は他にMiroを使うことも多いのですが、どちらのツールも全員が同時に同じ画面を見ることができ、その場で要素を組み替えたり、コピーして自分のバージョンを作ったりすることが可能です。コラボレーションツールの価値を発揮していると思いますね。

さらに、オンラインでワークショップも開催することもあります。付箋の代用はFigmaやmiroを使用します。そこにどんどんアイデアを出していき、絵文字などを使って投票したり、Zoomを繋ぎながらmiroやFigmaの画面を見て話したりしています。実際やってみて、工夫次第でいくらでもオンラインワークはできると感じています。

Anywhereの概要と案件の進め方についてのご説明は以上となります。ありがとうございました。


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