依存症患者の家族になって④

自分の経験や思いを綴ってみたら、依存症当事者の方と思わぬやりとりが生まれて、弟について想うきっかけになったり、自分をふりかえったり。ご縁がありがたいなぁと思います。

日本人は、ものごとを家族単位で考えがち。家族の問題を、家族で解決しようと頑張っちゃう世の中だと思います。家族単位意識の良い点ももちろんあるけれど、デメリットもある。

今回私は弟が依存症になって初めて、弟のことを独立した成人としてみる機会になった気がします。成人しても、就職しても、守るべき対象として見てしまっていた弟が、仲間や専門の先生と共に自ら回復の道を歩む。私自身の生活は守るけれど、本人の人生にはそれ以上干渉しない。それを学びました。

今回、家族支援専門家の先生から教えてもらった本人の今後について考える時のキーワード。それは、「希望は持つけど、期待しない。」

つまり、「きっとうまくいくさ!」と思っているけれど、うまくいくよね?うまく行かないとおかしいよね?と本人にプレッシャーをかけない。これホント大事だと思います。

私はこれまで、「期待する」って良い言葉だと思ってました。期待してるよ!って言われるのって、褒め言葉だと思っていたし。でも、相手に期待するのって、する側の勝手なんですよね。される側のことを考えてない。その割に、期待した結果にならないと文句を言いがち。

でも希望を持つのは、もたれる側にあんまり影響しない。勝手に祈って、終わり。そういう方が、お互い楽だなぁと思います。

今私は子育て中ですが、子供達に期待しないようにしたいなぁと思っています。でも、希望は思っています。君たちの未来は明るいさ!可能性は無限だよ!と思っている。ただ、「このくらいの大学には入れるはず」「これはこれくらいできて欲しい」というような期待はしない。

今、弟とは直接話すことはほぼない環境です。最初から引き離したせいで、母は今も依存症について何も知らないままだし、より良い関わり方も知らない。でも、父の看病で精一杯だった母が弟に関わらず、弟も親に頼れなかったこのタイミングは、何かの思し召しだったような気がします。家族支援の先生も、「今はお母さんが何もしないことが、最大の支援だと思って、心苦しく思わないで下さい」と言ってくださり、その言葉に救われました。

私や家族にとって弟がとても大事な存在であることはずっと変わりないし、幸せな人生を歩めるよう祈っています。私は私で、家族は家族で、それぞれに自分の生活を満たし、できる範囲でお互い助け合っていけたら嬉しいなぁと、今は思っています。





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