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【ブックカバーチャレンジ:7/7】仏果を得ず

ブックカバーチャレンジ、7回目(1回目2回目3回目4回目5回目6回目

「仏果を得ず」作:三浦しをん

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文楽の太夫(語りをする人)を主人公にした小説である。文楽を見に行き始めたころ、文楽のことが知りたくて、文楽の解説本をちょこちょこ読んでいたのだが、ふと見つけたこの小説がかなり面白く、若い太夫さんはラブホテルに住んでるんじゃないかとちょっと思ったりしている(決して住んでない。)ちなみに、国立文楽劇場のあたりはラブホテル街でもあったりするので、なんだかそのあたりも妙にリアルで面白い。まあ、ラブホテルに住んでいるというシチュエーションは読み物として面白くするための設定なんだろうが。

太夫が使う見台などの道具のこと、稽古の様子なども描かれていて、前回紹介した「花よりも花の如く」と同じように、太夫の生活が少しのぞける。古典芸能といわれるものは、型ばかりが目につくが、もちろん”型”だけをやっていれば表現できるというものではない。能楽師も太夫も、同じ表現者なんだということに気づく。古典作品でも演じている人間は現代人なのだ。

三浦しをんさんはほかにも、「あやつられ文楽鑑賞」という文楽エッセイも書いておられるので、文楽好きとしては、気にはなっているのだがまだ読んでいない。


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