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表5「実際」の提出から考える仮説とサイド・エフェクト。都は何故許容したの?

疑問点:なぜ、様々な差異がある表5「実際」を東京都および代理人弁護士は許容したのか

東京都住民監査請求に対する住民訴訟において、表5「実際」という帳票?帳簿?が裁判所へ提出された

これまでの住民監査請求監査結果や公開されている資料と比較し様々な差異があるが、東京都の弁護士は何故許容したのか、(私の中では)目的は何なのかがクリアにならないので、目的・GOALから仮説を立ててみる


前提の整理


ステークホルダー別のGOALs(仮説)

原告GOAL
⇒ライブ等でも言ってるのは業者から返金させろ!あたりですかね
(詳しくは訴状を購入して下さい。今回の表5は直接影響は及ぼさないためGOAL仮説のみです)

東京都(代理人弁護士)のGOAL
①返金ゼロ
②財務上の問題は発生しなかった
③事務不備あり(までは受容する前提だと思われる)

業者C(補助参加代理人弁護士)のGOAL
④返金ゼロ
⑤過剰請求は無かった(不正確な請求や報告は含まない)

ゆり子のGOAL
組織内部で収まるなら何でもよい



差異の事例:総人件費および法定福利費の差分

要点は表4(住民監査請求監査の勧告に基づく再調査結果)での人件費の積算額および法定福利費の積算額等と「実際」の間に差異がある。

以下の2種の内容からの給与部分抜粋
表4 福祉保健局 再調査結果https://www.kansa.metro.tokyo.lg.jp/PDF/08jumin/4jumin/4jumin5_sochi2.pdf
表5「実際」人件費の給与・法定福利内訳部分の抜粋

(追記2023-07-06 15:00
注: 給与に出てくる数字は再調査の時に言及された数字と同じではあるが、『契約で義務化された管理台帳等に記載されていない内容を含む』事実が確定された。従事職員給与支払総額(再調査)と按分後給与合計(「実際」)も異なる表現である。従って実際と言う数字を管理している台帳と再調査や調査で提示された帳簿等とは差異があることになる。)

法定福利費に関する問題指摘は以下のred氏のnoteを参照してください。

表5「実際」がそこまで違うと思ってなかった東京都代理人のパターンとしてはとても分かりやすいです。ただし、違法になる可能性があるのでサイド・エフェクトに別方向の観点をまとめています。



「実際」と差異から発生する事実

  1. 「実際」に要した経費は過去の調査結果と異なり、とても大きいものであると業者は主張している

  2. 東京都住民監査請求監査における関係人調査で提示された金額と「実際」は異なる

  3. 東京都福祉保健局による再調査において帳簿および領収書等を確認した結果と「実際」は異なる

  4. 東京都の監査および担当局の再調査と異なる管理台帳・帳簿(「実際」)が存在しており、東京都としては把握できていなかった
    (人件費総額および法定福利費に差異があるという事実だけで、異なる【知らなかった】帳簿であることが立証できそう)


事実1の表5「実際」を認定された場合のGOAL仮説との整合性

費用(東京都の債務)が実は住民監査請求監査等の調査または委託事業費2600万円よりも大きかったと認定された場合には、以下のオレンジの枠内が充足される。
(メリット:事実1「実際」から減額して行って、最終的に東京都の債務の存在確認・支払い金額正当性確認がされるという保険的な価値の側面を有する:2023-07-06 10:00追記)

オレンジの枠内が充足される

この場合、表5「実際」による新たな且つより大きな積算はGOALに対して有効と言え、東京都の弁護士が拒否する理由にはならないと考えられる。

但し、表5「実際」により正確な検査を行っていなかったことになり、GOAL仮説:東京都③は確立される。(そもそも住民監査で認容)



新事実:更なる差異の問題(2023-07-19)

ガソリン代(旅費交通費)

立証として提出された書面の個別費用まで確認すると、ガソリン代が再調査時に認定された金額よりも実際の費用の方が少なくなっている。
調査の不正か、帳簿の不正か立証書面での捏造がある。
捏造ではなく費用の内容を隠すために実態を恣意的に隠蔽した結果だとすれば、裁判官を騙すために行った行為ではないだろうか?

ガソリン代編

事務所家賃(事務所居場所運営費)

立証として提出された書面の個別費用まで確認すると、事務所家賃が事業報告にて報告された金額よりも実際の費用の方が少なくなっている。
調査の不正か帳簿の不正か立証書面での捏造がある。事務所家賃は管理費であり、総事業に対して該当事業等の別用途を含めての按分が必要である。
単価の違いを含め、計画および事業報告に関しての不正がある。
 別次元の会計帳簿(1,188,000) < 都への事業報告(1,300,000)
「実際」の経費(1,089,000)であり、不整合を説明出来得るものはない。

事務所家賃編

仮説サイド・エフェクト(それぞれの責任やGOALそして影響は異なる可能性)


(注)知識不足による不明点

地方自治法第242条第9項の規定に基づき実施した再調査は、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和三十年法律第百七十九号)第23条(立入検査等)に相当するのか?

サイド・エフェクトの仮説を立てるにあたって、上記が該当するものと仮定する。(将来的に上記が実施された場合でも前述の事実自体は消えない)


仮定の設定論拠 都議会の質疑3月上旬


【川松】一方で、今後この間の本会議の質問の中でも突然ですね、福祉保健局は「これは委託事業から補助事業に変えます」という話になりましたが、補助事業に変えるにあたって国と協議してるって話ありましたけれども、いつから国と協議してどんなこと協議してるんですか
(中略)

【川松】噛み合ってないんですけど、加藤大臣は「現状でも補助にできますよ」ってこと言ってます。
(中略)
なんと「補助金適正化法の趣旨を踏まえた対応が必要か検討する」と大臣が発言をしています。
(中略)
監査勧告を受けた再調査結果について、厚生労働省に報告をされたんでしょうか。あるいは今後報告する予定はあるんでしょうか。

【西山】今回の調査の結果についてでございますが
(中略)
この情報につきましては厚生労働省の方にも情報提供してございます。

なお、上記の文字起こしは以下の記事より引用


補助金適正化法】に違反している可能性と違反していない可能性

再調査がこの法令に該当していると仮定した場合に、事実4(知らなかった帳簿等)により

業者(とその代理人)は(前述の再調査が同法第23条に該当する場合)
第23条の立入検査等で虚偽の報告をしたとは捉えられないのか?
事業報告⇒関係人調査⇒再調査⇒住民訴訟と変遷している項目の存在は
罰則規定の第29条および第32条に該当する可能性はないのか?

東京都は
「実際」と「再調査で提示された管理台帳および帳簿等(契約仕様書 第10条)」に差異があった事実は当裁判までは知り得なかったから同法第29条第2項における【情を知つて交付又は融通をした者】にならないのではないか?
(都には法令違反はなく、検査不備等の規定違反による組織内部での懲戒に留まる可能性。なお、施行令や条例までは確認していない。)

【GOAL③事務不備あり(までは受容する前提だと思われる)】以上は受け入れない⇒が実現される(補助金適正化法違反ではない根拠を残す)

10 関係書類の整備
受託者は、本事業実施に係る収支に関する帳簿、領収書その他の諸記録を整備・保存し、常に計理状況を明らかにしなければならない。

委託事業 委託契約仕様書

第六章 罰則
第二十九条偽りその他不正の手段により補助金等の交付を受け
、又は間接補助金等の交付若しくは融通を受けた者は、五年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
 前項の場合において、情を知つて交付又は融通をした者も、また同項と同様とする。

補助金適正化法

まとめ 何度も調査をした内容をここで変更して誰が得をするのか?

  • 掛かった金額を膨らませることで東京都の過剰支出・業者の過剰請求が無かったという結果に結び付ける布石(東京都+業者の利益)

  • 補助金適正化法第29条等の罰則に基づく対象から東京都は除外され、業者は該当してしまうような気がしないでもないでもないでもないでも…

    • 東京都はGOAL③までで逃げるが、業者は…この法律に引っかかったり…
      (東京都だけの利益)



あとがき

表5をどうして東京都の弁護士が受け入れて提出したのか?の理解に苦しみ、頭の体操として、それぞれの目的/GOALと今回の状況に関する仮説を立て考えてみました。自分が東京都から仕事をもらっている弁護士だとして依頼人の最大の利益且つ不正でないことは何か?という仮説からまとめました。

なお、原告の立場からのGOALにどのように近づくかについては、表5が影響しない(帳票単体で債務の不存在に該当しない)ため、特に記述はしていません。

内容的に仮説(業者の利益は含まれない可能性)だけど当たってたらイヤだな~(私ならやるんですが)

追記 2023-07-06 18:00 :表5「実際」にのみ絞っての仮説でした。
実際の金額が…その他の…そうなると社会…がこの文書はここまで


編集履歴

仮定の設定論拠を追記(2023-07-06 09:00)
事実1に関する部分の価値を追記(2023-07-06 10:00)
あとがき これ以上の仮説は不要の旨を追記 (2023-07-06 18:00)
新事実:更なる差異の問題(2023-07-19)の追加


(参考資料)参照法令

補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和三十年法律第百七十九号)
(立入検査等)

第二十三条 各省各庁の長は、補助金等に係る予算の執行の適正を期するため必要があるときは、補助事業者等若しくは間接補助事業者等に対して報告をさせ、又は当該職員にその事務所、事業場等に立ち入り、帳簿書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる
 前項の職員は、その身分を示す証票を携帯し、関係者の要求があるときは、これを提示しなければならない。
 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

第六章 罰則
第二十九条偽りその他不正の手段により補助金等の交付を受け
、又は間接補助金等の交付若しくは融通を受けた者は、五年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
 前項の場合において、情を知つて交付又は融通をした者も、また同項と同様とする。

第三十条 第十一条の規定に違反して補助金等の他の用途への使用又は間接補助金等の他の用途への使用をした者は、三年以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

第三十一条 次の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。
 第十三条第二項の規定による命令に違反した者
 法令に違反して補助事業等の成果の報告をしなかつた者
三 第二十三条の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の答弁をした者

第三十二条 法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定のあるものを含む。以下この項において同じ。)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前三条の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、当該法人又は人に対し各本条の罰金刑を科する。
 前項の規定により法人でない団体を処罰する場合においては、その代表者又は管理人が訴訟行為につきその団体を代表するほか、法人を被告人とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。

第三十三条 前条の規定は、国又は地方公共団体には、適用しない。
 国又は地方公共団体において第二十九条から第三十一条までの違反行為があつたときは、その行為をした各省各庁の長その他の職員又は地方公共団体の長その他の職員に対し、各本条の刑を科する。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=330AC0000000179