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過料(科料ではない)と通知の手続き。公告・登記・作成など法律はきちんと守りましょう

法令等の罰則規定において過料とされているものは、秩序罰と言われています。(前科がつきません)
この過料は行政等の管轄や関係者等が過料事件通知を行うことにより裁判所で判断(過料についての裁判等)がされることで初めて科されるものです。

一般的にどんな人でも様々な法令等により義務を負っています。
きちんとやるべきことをやりましょう!常識ですよ!というものが多いので一般論としては、過料事件通知の前に基本的に事前の改善通告をした方が良いとも思います。下段に付けた京都市の例は少なくとも2年間は放置しているようで、多くの時間経過をしていることから改善機会の放置と法的義務の不履行と捉えられて管轄庁が対応(過料事件)したものになります。

義務の不履行と言う事態に対しては、以下のような手続きに進むことで、過料だけでなく違法行為の改善につながることでしょう。

手続き自体は要件を満たした文書を作成して提出することで、担当の人に説明を行うだけで済み30分も掛かりません。(その後に通知者の関与等は一切なく、義務を負うものが呼び出され裁判が行われます)


作成するもの

過料事件通知書の内容

根拠法令や相手先情報などを書類におこし、管轄の地方裁判所(東京地裁民事第8部などの過料事件担当)へ提出する。

1    違反者の住所、氏名および資格
◆住所
◆氏名
◆役員・理事・監事など罰則規定の対象となる資格があることの明記

2    違反事項の要旨
◆何をしなくてはならないという罰則規定の対象条項における違反状況の概略を示す(根拠となる法令・条項の何を行っていないまたは怠慢や偽造したなどの事実明示)

3    該当法条
前述の根拠法令および条項番号を改めて列挙する
◆義務に関する条項
◆罰則に関する条項

4    添付書類
◆上記2の違反事項の証跡(画面コピーや文書そのものなどを印刷したものや議事録等)または無いことに関する情報(公告の不存在確認をした魚拓とURL等)などを列挙した書類
◆資格のあるものが、事態を把握した日時やその根拠または把握していない根拠や事実等の補足
◆(あるなら)改善機会の放置や、一定期間にわたる不法行為の証跡(悪質性)

サンプル書式は以下のようなもので、多少の差異は大丈夫です。
(過去のホンモノを少し手直し)


手続き(ほぼメモ)

地方裁判所の特定部署(民事の商事)に行く
(東京地裁なら民事第8部、その他の地裁についても過料事件で調べれば分かります。)

身分証など
書類を提示して、内容を説明する


過料に関する情報


根拠法令

非訟事件手続法
第一条
 この法律は、非訟事件の手続についての通則を定めるとともに、民事非訟事件、公示催告事件及び過料事件の手続を定めるものとする。

第五編 過料事件
(過料についての裁判等)

第百二十条 過料についての裁判には、理由を付さなければならない。
2 裁判所は、過料についての裁判をするに当たっては、あらかじめ、検察官の意見を聴くとともに、当事者の陳述を聴かなければならない。

4 過料についての裁判の手続(その抗告審における手続を含む。次項において同じ。)に要する手続費用は、過料の裁判をした場合にあっては当該裁判を受けた者の負担とし、その他の場合にあっては国庫の負担とする。
5 過料の裁判に対して当事者から第三項の即時抗告があった場合において、抗告裁判所が当該即時抗告を理由があると認めて原裁判を取り消して更に過料についての裁判をしたときは、前項の規定にかかわらず、過料についての裁判の手続に要する手続費用は、国庫の負担とする。


過料事件の公表例(事業報告書の未提出、報告徴収未提出や検査の妨げ・忌避)

(1)事業報告書等の提出を怠ったとき(法第29条違反)


(2)所轄庁による報告徴収又は立入検査について報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又はこれらの項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき(法第41条第1項違反)


気になっている事例


一般社団法人の登記/公告遅延

平成十八年法律第四十八号 
一般社団法人及び一般財団法人に関する法律

(貸借対照表等の公告)
第百二十八条 一般社団法人は、法務省令で定めるところにより、定時社員総会の終結後遅滞なく、貸借対照表(大規模一般社団法人にあっては、貸借対照表及び損益計算書)を公告しなければならない。

第二款 主たる事務所の所在地における登記
(一般社団法人の設立の登記)
第三百一条
 一般社団法人の設立の登記は、その主たる事務所の所在地において、次に掲げる日のいずれか遅い日から二週間以内にしなければならない。

(変更の登記)
第三百三条
 一般社団法人等において第三百一条第二項各号又は前条第二項各号に掲げる事項に変更が生じたときは、二週間以内に、その主たる事務所の所在地において、変更の登記をしなければならない。

(罰則)
第三百四十二条 設立時社員、設立者、設立時理事、設立時監事、設立時評議員、理事、監事、評議員、会計監査人若しくはその職務を行うべき社員、清算人、民事保全法第五十六条に規定する仮処分命令により選任された理事、監事、評議員若しくは清算人の職務を代行する者、第三百三十四条第一項第六号に規定する一時理事、監事、代表理事若しくは評議員の職務を行うべき者、同条第二項第三号に規定する一時清算人若しくは代表清算人の職務を行うべき者、第三百三十七条第一項第二号に規定する一時会計監査人の職務を行うべき者又は検査役は、次のいずれかに該当する場合には、百万円以下の過料に処する。ただし、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。
一 この法律の規定による登記をすることを怠ったとき。
二 この法律の規定による公告若しくは通知をすることを怠ったとき、又は不正の公告若しくは通知をしたとき。
 この法律の規定による開示をすることを怠ったとき。
 この法律の規定に違反して、正当な理由がないのに、書類若しくは電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧若しくは謄写又は書類の謄本若しくは抄本の交付、電磁的記録に記録された事項を電磁的方法により提供すること若しくはその事項を記載した書面の交付を拒んだとき。
 この法律の規定による調査を妨げたとき。


NPO法人の事業報告書の提出義務違反や貸借対照表の公告義務違反

平成十年法律第七号
特定非営利活動促進法

第八十条 次の各号のいずれかに該当する場合においては、特定非営利活動法人の理事、監事又は清算人は、二十万円以下の過料に処する。

五 第二十五条第七項若しくは第二十九条(これらの規定を第五十二条第一項(第六十二条において準用する場合を含む。)の規定により読み替えて適用する場合を含む。)、第四十九条第四項(第五十一条第五項、第六十二条(第六十三条第五項において準用する場合を含む。)及び第六十三条第五項において準用する場合を含む。)又は第五十二条第二項、第五十三条第四項若しくは第五十五条第一項若しくは第二項(これらの規定を第六十二条において準用する場合を含む。)の規定に違反して、書類の提出を怠ったとき。

七 第二十八条の二第一項、第三十一条の十第一項又は第三十一条の十二第一項の規定に違反して、公告をせず、又は不正の公告をしたとき。

(貸借対照表の公告)
第二十八条の二 特定非営利活動法人は、内閣府令で定めるところにより、前条第一項の規定による前事業年度の貸借対照表の作成後遅滞なく、次に掲げる方法のうち定款で定める方法によりこれを公告しなければならない。

(事業報告書等の提出)
第二十九条 特定非営利活動法人は、都道府県又は指定都市の条例で定めるところにより、毎事業年度一回、事業報告書等を所轄庁に提出しなければならない。


名称使用の制限(任意団体がNPO法人と名乗るのはダメだけどNPOだけはギリギリセーフかも)

(名称の使用制限)
第四条 特定非営利活動法人以外の者は、その名称中に、「特定非営利活動法人」又はこれに紛らわしい文字を用いてはならない。

(罰則)
第八十一条 第四条の規定に違反した者は、十万円以下の過料に処する。

◆「はねっとの誤記」で【NPO法人】と書いてあっても当事者はNPOとだけ名乗っていたりする誤記もあります。


社会福祉法人の事業報告(含む改訂)、承認と議事録と罰則条項

社会福祉法(計算書類等の作成及び保存)
第四十五条の二十七
 社会福祉法人は、厚生労働省令で定めるところにより、その成立の日における貸借対照表を作成しなければならない。
2 社会福祉法人は、毎会計年度終了後三月以内に、厚生労働省令で定めるところにより、各会計年度に係る計算書類(貸借対照表及び収支計算書をいう。以下この款において同じ。)及び事業報告並びにこれらの附属明細書を作成しなければならない。
3 計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書は、電磁的記録をもつて作成することができる。
4 社会福祉法人は、計算書類を作成した時から十年間、当該計算書類及びその附属明細書を保存しなければならない。

(計算書類等の監査等)
第四十五条の二十八
 前条第二項の計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書は、厚生労働省令で定めるところにより、監事の監査を受けなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、会計監査人設置社会福祉法人においては、次の各号に掲げるものは、厚生労働省令で定めるところにより、当該各号に定める者の監査を受けなければならない。
一 前条第二項の計算書類及びその附属明細書 監事及び会計監査人
二 前条第二項の事業報告及びその附属明細書 監事
3 第一項又は前項の監査を受けた計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書は、理事会の承認を受けなければならない。

日本で1番くらいに有名な社会福祉法人が事業報告書を改訂していたような気がしますね
罰則はどうなってるでしょうか⁈



あとがき

経験から振り返ると手続き自体は難しくはありません。
住所などが必要なので、全く無関係だったりすると登記簿から情報を得るなど知識とステップが必要になります。
また一般的に住所と氏名を公開するとプライバシー侵害になりますので、公開してはいけません。
文書を作成するとプロパティに名前などがのこったりすることもありますが、それとは異なります。

編集履歴

社会福祉法の社会福祉法人に関する気になることを追記 2023-7-01 09:00
ぼかしました(笑)2023-07-03

押すなよ、押すなよー!