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#27 サムライ (1967)

「サムライの孤独ほど深いものはない。もしかしたら...密林の虎だけがこの孤独を知るだろう...」

セリフはほとんどなく、画面と音で語るフィルム・ノワールの傑作。
物語は一匹狼の殺し屋が殺人現場を見られ、警察と組織双方から追われる2日間を描く。
話を楽しむというよりは映像の詩を味わう映画だと思ってます。

アラン・ドロンは男前な美貌よりも、家庭不和で行き場がなく、志願兵で戦争を経験と、生い立ちからにじみ出る孤独感や普通の生活ができなさそうな飢えた暗い目に惹かれる。

彼にしか出せない淡々とした視線や動きが本物の殺し屋のようで画面に釘付けになり、一種の美学を感じさせる。


余談
ドロンが着ていたアクアスキュータムのトレンチコートに憧れた。
ボタンを留めると鎧のようで帽子のツバをすっと撫でるのが格好良い。
アクアスキュータムはブランドとしては低迷したものの、バーバリーと並んで世界初のトレンチコートを作った老舗なので20万円。
新品を買うのはとても無理で、東京圏内のあらゆる古着屋を回った。

安くても状態悪い物が多い中、運良く新古品を見つけるも、それなりのお値段...当時草食う覚悟で買った。
初めて高いコートを着て、素材、身体にあったラインに感動し服好きという沼にハマりました..。

映画衣装を意識し、お直しして付き合っていった思い出の一着。



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