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「風の草刈り」わたしの解釈

今回は、「風の草刈り」についての話。

わたしは草刈りが大好きだ。
やりはじめると、ついつい時間を忘れて没頭してしまう。
草との対話だから、飽きないのだ。

草刈りについてあまりにも楽し気に話すので、みんなが興味をもってくれる。
「風の草刈り」。
これは矢野さんに大地の再生講座で教わって以来、ずっと続けている。

そもそも「風の草刈り」とは。
7年続けてきて、感じたこと、わかったこと。

植物は、触られたり、ゆすられたりするのが嫌い。
だから風の強いところは好まない。
交通量の多い道路の際に生えている植物が、車道のほうへ枝葉を伸ばさないのも、風圧をかんじて伸びないため。

風の草刈りは、そんな植物の”風嫌い”を利用した草刈りの方法だ。
風が強く吹いて、削いだり、折ったりするように、刈る。
すると、「ここは風が強く吹く場所なんだな~」と、植物は勘違いして伸びないようになっていく。

風の草刈りは、地形を読み取って、地面の下を流れる水の動き(水脈)をイメージして草を刈る。
傾斜のある土地は水の流れがはっきりしているので、刈るべき部分を判断しやすい。
水脈の上が谷間になるように、それ以外はふんわり残してかまぼこ型に刈る。
谷と山のメリハリがあると、空気の流れを作り出せて効果が出やすい。
地上に空気の流れが出てくると、土中の空気と水もひっぱられるように動き出して、循環が促される。

空気が停滞すると、草がぼうぼうに生えやすい。
なので、モノの配置に気をつけるだけでも、草は生えにくくなる。
空気を遮断するような囲いや壁があると、空気の流れが止まるからだ。

風の草刈りは、刈る時期がすごく重要。
春先の偏西風が吹く、4月から5月ごろからはじめるといい。
まだ草が気にならないけれど、芽吹きの時期だからこそ効果がある。
葉も茎も柔らかいので、作業もラクだ。

植物たちが「よーし、これからモリモリ伸びてくぞー!」と思っている時期にやるからいいのだ。
というのも、伸ばそうとしている先端が成長点だから。
成長点は、植物にとってヤル気の塊。
そこを何度も何度も刈っていくと、植物はヤル気をなくして、伸びようとする力を弱めていく。

植物は、ふたつの芽吹き方がある。
それに合わせて草刈りをすると、さらに有効だ。

ひとつは二葉で出てくるタイプ。
茎がしっかりして葉がついている植物だ。
こちらは先端部分を刈るといい。

もうひとつは、ひとつの葉で芽が出るタイプ。
イネ科の植物は、このタイプだ。
こちらは中央部分を引っこ抜いていくと効果が出やすい。
何度か引っこ抜いていくうちに、元気がなくなっていく。
抜いていくうちに、だんだん軽く簡単に真ん中の葉が抜けて弱まっていく。

6月の雨が降って日ざしが強くなるころは、草がもりもり成長してくる。
草に厚みが出てくるというか。
春に何度か刈っておくと、草の丈が低めに安定しているのがわかるはず。
春先よりも丈は高くなるけれど、伸びた分だけ、ふんわりする程度に刈り足していく。

厚みが出ているときには、カマを垂直方向に振って刈りたい。
草の生長点は株の中心深くにあるので、そこを叩いておきたい。
生長点をこの時期にちょっと弱めておくと、真夏の丈が変わってくる。

真夏はさらにぐんぐん成長して、丈も厚みも出てくる。
水と風の通り道、草むらのヘリ、建物の際などは、深く刈り込む。
それ以外はふんわり残すイメージで、メリハリをつけるといい。

はじめての年は、できるだけ回数が多いほうがいい。
効果を感じにくいから、ここでやめちゃうひとも多いだろうけれど。
そこをぐっとこらえて、こらえて。

翌年以降、タンポポなど宿根草は、丈が低くなる。
前年に刈った以上に、丈が延びない。
ちゃんと学習しているのがおもしろい。
ヒメジョオンやアメリカセンダングサなどは、しつこく高く生えてくる。
その年に生えて枯れるタイプの草だから、学習をしていないのだ。
彼らは無邪気にぐんぐん伸びる。
先端部分を何度も刈っていくと、根っこがしっかり地面に踏ん張るようになり、硬かった土もふんわり柔らかい土に変わっていく。

でも、風の草刈りは即効性がない。
ほんとに効くのかな・・とほとんどのひとは思って途中でやめてしまうんじゃないかな。
梅雨時にはモリモリ育つし、真夏にはさらに厚みも太さもしっかりして強くなるし。

実は、効果を感じるのは3年後くらいからかな。
だから根気が必要なのよね。
草との対話は楽しいから、続けてみて!

実は偏西風が吹く3-4月がいちばん効果があります。期間内のワークショップでは、「風の草刈り」も行います。ワークショップは、毎日おひとりから開催。詳細はこちら。


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