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とある30代男性が「月がきれい」を観て思うこと

前置き

こんにちは、ユウキです。

先週、たまたまHuluの2週間体験プランに入って、アニメ「月がきれい」を観ました。(一応言っておくと、最後にHuluの入会を促すとかの広告系の記事ではありません。)

僕が普段から参考にしている、あにこれというランキングサイトで上位に上がってたので気になっていたものの、Netflixにもアマプラにもなかったため観れずにいたのを、やっと観ることが出来ました。

こないだたまたま読んだ本で、"人はインプットしたものを、アウトプットすることで初めて自分の中で消化できる"とかなんとか、とにかくそんな内容のことが書いてあったので、内容を忘れないうちに感想を残しておこう!と思いつつ、行動に至らなかったことが何度あったことやら。。。

そんなわけで、今回は、最終話を観終わってまだ5分くらいの今のうちに、その勢いで書いてしまおうと、そういう寸法なわけです。

※いつも通り、前置きは"ですます調"にしてますが、本文は"だ・である調"になってますので読みづらい点はご容赦ください。

観終わって、まず思ったこと

いやぁ、ニヤけた。

30過ぎた男がPC観ながら一人でニヤニヤしてる光景は、傍目には結構キモいと思う。

しかも、主人公が中3。

ピーターパンシンドロームか、と自分にツッコミを入れたくなる。

中3って、当たり前の話だが、若い。

大人になってズル賢くなる奴も含めて、この頃って大抵の奴がまだ"ウブ"な部分があり、観てるこっちが焦ったくなるような不器用さが剥き出しのままぶつかり合っている、そんな時期である。

こういう多感な時期ってもう来ないんだろうなぁ、ってなことを思っている自分を俯瞰して、さらに哀愁が増す。

特に、テンション上がっちゃって電気のヒモ(?)をパンチするとことか、LINEのメッセージ読んでベッドで悶えてるのとか、観ているこっちが恥ずかしくなる。

こういうのって、臭いって分かってるのになぜか嗅いでしまう靴下の匂いみたいな、妙な中毒性があるよね。

恥ずかしくなるのに、なぜか観てしまう。

激しいニヤつきと激しい哀愁が交互に押し寄せてきて、なんだか忙しい自分がいました (作業中に観ていたので実は単純に別のことで忙しかっただけかもしれない)。


映像美・映像作品として

あと思ったことは、映像がとても綺麗だということ。

単純な技術の進歩もそうなんだけど、最近のアニメってめっちゃ綺麗だなぁと思う。

ジャンプ黄金世代と呼ばれる90年代のアニメで育った僕としては、あれだけハマってたのに、今見返すと背景とかモブキャラとかの表現が酷い(笑)。

良くいえば、ディテールを省くことでスポットを当てるべきところに焦点を当てやすくなっているとも言えるが、逆に言えば、あくまでメインのキャラとか技とかがかっこいいだけであって、スポットが当たっていないところを含めた全体を「映像美」として評価することは難しい。

一方、最近のアニメは、主人公とかヒロインとサブキャラ・モブキャラの描き方に技術的な差異はほとんどなく、ストーリーや演出があって初めて、視聴者も自然とメインのキャラに魅力を感じる構成になっている。

極端な話、90年代アニメの場合は、話を知らなくてもキャラを見れば誰がメインで誰がモブなのか一目瞭然なのだが、現代のアニメは話を知らずに絵だけみたら誰がメインのキャラなのかわからない。

さらに言えば、背景の描写なども、まるで一枚の絵画として展示できるレベルで、例えばビルがただの四角形の集合体のように記号化された90年代のアニメとは大違いである。

最近見た作品だと、「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」がダントツで映像美としてすごいなぁと思ったけど、あれはヨーロッパ風の架空の世界を描いていて、「月がきれい」は実際に存在する場所(川越)を描いている。

東京で育った僕にとって、この作品の舞台である川越は何度行ったかわからないほど身近な場所なのだが、「よくこんな細かいところまで表現してるなぁ」という感じだった。

川越の風情ある空気感がよく描かれていて、現在は東京を離れ長崎県に住んでいる僕としては郷愁を感じさせられるものだった。

自分が育った場所は郊外の、無機質な住宅街だったけど、こういうところで育ったらこういう青春もあったのかなぁ、なんて想像してしまった。

今となっては珍しい?王道な展開

最近のアニメは、(と言うと大雑把にしすぎな感じもするが、)なんとなく"過激であればあるほど良い"みたいな風潮がある気がして、あまり好きになれないものが多い。

アニメというものが一大ビジネスに成長して、激化した競争の中で、少しでも目立つように、となっていった結果の一つなのだろうが、こういった刺激中毒患者の欲求を満たすことは究極的には底無し沼で底を探すことに他ならないのでは、と思ったりする。

そういったものが多い中で、この「月がきれい」のストーリーは古き良き王道の現代版と言えると思う。

恋愛ものの場合、主人公とヒロインが紆余曲折する、という点は共通するのだが、クライマックスに「結ばれる」か「結ばれない」かという違いが「王道」かそうでないかの判別する一つの基準になる。

もちろん、王道は「結ばれる」パターンなのだが、最近流行の、"過激であれば〜(略)"の風潮的には、とにかく意外性がある方がウケるのか、「結ばれない」パターンが妙に乱発されている気がする(主観です)。

その上、終わってみれば、大恋愛っぷりを尺の大半を使って描いていたにもかかわらず、最後にしれっと出てきた程度のキャラとくっついてしまったりして、「あの時間は、我々は何を見せられていたのか」と疑問に思っている視聴者を置いてきぼりにしたまま、「結ばれなかったけど、お互い大事な人だよね」みたいなフワッとした結論で終わる作品とかって、結局のところ、ラブコメがやりたいのか、製作者が自分の実体験を公共の電波を使って正当化したいだけなのか、よくわからない。

現代的な表現で言えば、"ソウルメイト"的な、YESでもNOでもない第三の選択肢を出すことが最初は斬新だったのかもしれないが、もはやそういったものがありふれてくると、特に面白さも感じられない。

むしろ、冷静に考えると、「現実でそういうのを嫌というほど見させられてるのに、なぜ、アニメの世界でまでさらに見せられなければならないのか」ということ。

いや、もうホントお腹いっぱいなんですわ、そういうの。

俺がアニメの世界に求めるものは「アニメ(アート)」であって、「現実」じゃないんだ!ってこと。

だから、ハッピーエンドな展開を迎えるこの作品には、かえって好感が持てる。

特に、最終話のくだりとか、思いっきり青春してていいなぁ、って感じでした。

自分の場合は高校生の時に「セカチュー」が流行ったのを思い出したけど、この作品って、リアルタイム世代にとっては、そんな感じなのかなぁ。

話はそれるが、「セカチュー」にしろ、「君の名は。」にしろ、なんかすごい流行ってる時って逆に観る気になれない。

「今さらそれ?」って言われるような時期に、こっそり一人で観て(結局観るんかい)、「俺は絶対に感動しないぞ」という謎の対抗心を持って挑むのだが、大抵は涙腺崩壊するんじゃないかってくらい感動してしまう。

このパターンが過去数回に渡って繰り返されているので、もはや「不覚にも感動してしまった」というフレーズは使えないはずなのだが、毎度毎度「あれは"不覚"だった」ってことにして、同じ過ちが繰り返されていく。

まぁ、冷静に考えたら、感動しないつもりで観て、本当に感動しなかったらしなかったで「金返せ」と思ってしまうのだから、ただのクレーマー体質でしかないのだが、まぁ心のどこかで「俺は(不特定多数の)他人と違う」と思っていたい気持ちがまだ残っているのでしょうね。

まぁ、でも実際には、ただ時間差で、その不特定多数と全く同じリアクションをしてしまっているという。

さらにさらに、観終わった時には思いっきり感動して、「いやぁ、いいもん見せてもらった!」と満面の笑みなのだから、完全に製作者の掌で転がされているただのカモである。

で、なにが言いたいかっていうと、この作品に関しても、途中まではそんな感じで斜めに構えていて、いざ蓋開けたら結構楽しんでる自分がいたっていう。

もう、毎度のパターンですわw


ところで、中3で初めての彼氏彼女で、そのまま順当に結婚する、という、パターンは実際の現実世界ではどのくらいの割合なのだろう。

調べたわけではないが、きっと、かなりの低い確率に違いない。

1組だけ、友達のお父さんお母さんが、小学校の時からの幼なじみでそのまま結婚した、という話を聞いたことがあるが、それだけだ。

実際、自分が中学生の時は、周りの人は「付き合った」「別れた」を、まるで恒例行事のようなペースで繰り返していた記憶があるし、学園行事とかクリスマスの度に謎のプレッシャーが発動するあの現象なんなの。

もしかしたら、そういう、僕を含む最大公約数的なパンピーたちの、「こうだったら良かったのにな」という想いの結晶的作品だったのかもしれない。

現実で、花火大会とか遊園地とか、そういうシチュエーションで告白するのって諸刃の剣以外の何者でもないはずなんだけどね。

完全に偏見だけど、コミュ障とか内向的な人とか恋愛下手な人ほどそういうベタな状況を好んで当たって砕けろでそのまま玉砕、逆にチャラいけど恋愛上手なモテ男的タイプの方が、そういうベタな状況を回避してしれっと水面下でうまいことやってる、という気がする。

だからなんだ、って話なんだけどね。

でも、仮に後者の方をリアルに描いたアニメとかあっても、別に観たくはないかなw

コミュ障やオタ達のカッコいい玉砕っぷりを観る方が100倍楽しめる。

そして、倍率高めで大穴の、滅多に当たらない馬券が当たった時には、スタンディングオベーションだよね (何の話?)。

まとめ

安心感のあるハッピーエンドが待っているので、安心してみれる良作だと思います。(僕みたいに、謎に斜めに構えていなくても)

あと、少しだけ、学生時代が恋しくなる。

まぁ、そこに戻れたところで、こういうストーリーが待っているかは別としてね。

(たぶん、厳しいだろうな)





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