僕はこの嗅覚を殺したい
「おくりもののうた」12曲目は、僕の好きなライターのカツセマサヒコ(@katsuse_m)さんの「僕はこの嗅覚を殺したい」という記事を曲にしました。
この物語が好きで、どうしたらこんな文章を書けるんだろうと全文手書きで書き写したり、一時期影響を受けてnoteも小説チックな書き方になっていました。
歌詞にしてみても、心臓をわしづかみされてギュッとされるような言葉の情報の密度に驚かされるばかりで、感動しながら、勉強しながら、メロディーをつけていきました。
素晴らしい記事なので、ぜひ一度読んで曲を聴いて、用事もないのに田園都市線沿線に行ってみたくなったりしてください。
前世は犬だったかも 匂いには敏感で
送別用に買った花ひとつなんかで
田園都市線沿線に住んでいたあの頃の
一番特別なセンチンタルにタイムスリップした
いつも手ぐしが途中で引っかかる
君の頑固さみたいな
その髪はちっとも美しくなんかなかった
僕はこの嗅覚を殺したい
昨日を引き摺るナメクジのように
目的のものはだいたい見つからず
軽率でいい加減な同じシャンプーの匂い
君のインスタグラムが吐くほど嫌いだ
1/3の不純な感情で
終電後からはじまる僕らのストーリー
バスタブから溢れた分が憂鬱な真実
「同じ匂いだね」って笑う顔が馬鹿に見えた
それを分かっていて
愛してるを通り過ぎて 僕はもう 正直狂っていた
僕はこの嗅覚を殺したい
酔った帰り道にだけ電話が鳴り
翌朝 抜け殻を纏う キスもなく
今考えれば ずっとひどい扱いだった
それでも僕は
ちっとも美しくなんかなかった
世界で一番美しい髪を
乾かしている時間だけが好きだった
僕はこの嗅覚を殺したい
昨日を引き摺るナメクジのように
目的のものはだいたい見つからず
軽率でいい加減な同じシャンプーの匂いとともに
少しだけ大人になったんだ
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