見出し画像

個人投資家と機関投資の情報格差ゼロに挑戦

上場企業のCFOとして、日々IR活動をしています。
そこで感じる課題は、個人投資家と機関投資家では情報格差が大きいと言う点です。

私も個人としては、株式投資や資産運用など元々好きです。上場企業の役員になってからは、取引に対してとても慎重ですが、他社の株価や決算説明資料などは、勉強の意味も含めて良くチェックしています。

企業側の目線と個人投資家の目線から見てわかった事

会社側として、投資情報をお伝えする立場と、一投資家として開示情報を見る立場の両面を同時に経験しながら思うのは、個人投資家の立場ではなかなか全ての開示情報まで、追いきれないと言う事です。

機関投資家は、仕事として基本的な財務分析スキルを持っています。業界平均との乖離など、様々なデータもきっと持っている事でしょう。そして、何よりも企業と1on1で話す事ができ、疑問に感じる点を直接取材で聞くことができます。

これを繰り返しているうちに、会社のクセも把握しています。この会社の業績予想は保守的な傾向があるな、とか、スピーカーとなる社長やCFO、IR担当の人柄まで見ながら、質問に対する反応を確かめる事ができます。

開示書類はそもそも個人投資家に優しく無い

一方で、個人投資家はどうでしょうか?
私自身、個人投資家としての目線で思うのは、なかなか細かな開示情報まで読み解くのはパワーが要りますし、面倒です。有価証券報告書、決算短信、決算説明資料、数字の羅列や文字が多い上に、いまいちポイントがわかりにくい事が多いです。

そもそも証券取引所において、株式取引のボリュームを作っているのは機関投資家ですし、最近では海外の機関投資家です。開示書類も当然、こうした方を念頭に作成されているように思います。つまり、個人投資家に優しく分かりやすく作られてはいないのです。

長すぎる。難しすぎる。投資判断として使いにくい

ある情報に触れた時に、その情報を見て「買い」と判断する方もいれば「売り」と判断される方もいらっしゃいます。私は、”買い煽り”や”売り煽り”をしたい訳では無いので、どちらの判断をされる方がいても良いと思います。問題は、投資判断となる情報が有価証券報告書や決算短信、決算説明資料だけでは、個人投資家には専門的すぎて分かりにくかったり、長すぎて読む気もしないということではないか、という考えに至りました。

情報が少ないと、ネットの掲示板やSNSに書かれている噂のようなコメントで判断をしたり、チャートだけで判断をしたり、TOPIXや全体の相場感だけで判断をしなければいけません。大型株であれば、毎日のようにニュースが流れ、為替動向や経済政策にも大きく業績が左右されることもありますから、積極的に発信しなくとも投資判断の情報はそれなりにあると思います。しかし、中小型株の場合、中央銀行の政策や経済政策で直接的に業績に影響を受け無いことも多いように思います。

この状況では、個人投資家の方が、正しい投資判断の情報に触れて、投資を行う事が難しいのではないかという考えに至りました。

トピックに分解して伝える挑戦を始めます

そこで考えたのが、既に公開されている自社の決算説明資料や投資家との1on1で質疑応答しているような内容を、ティップスに分解し、一つのトピックとして記事化するというアイディアです。

直近の決算説明資料を元に、1つのテーマに絞って記事化するのであれば、インサイダー情報ではありません。ましてや風説の流布を狙った行為でもありません。決算説明資料や決算説明動画、または、書き起こし記事など公開されている情報を読んでいただければ、既に公開されている事実です。ただ、埋もれているだけなのです。

せっかく労力をかけて、お金もかけて、開示情報を作成していますので、もっとたくさんの人に読んでもらう努力や、理解してもらうための努力をするべきです。作りっぱなしで満足していては、本末転倒では無いかという考えに至りました。逆に言えば、今までなぜ先人たちはこういうことをしてこなかったのだろうか?と疑問にすら思います。

そこで、個人投資家のみなさんが気になるようなテーマを切り口に開示情報から切り取って1記事1テーマでトピックスとして紹介し、全文掲載されている決算説明資料を理解していただくための取組みに挑戦します。

国内初!上場企業の現役CFOが直接記事化

私が調べた限りでは、上場企業の現役CFOがこのような取組をしているケースはありませんでした。ですので国内初の挑戦です。海外の事例は調べていないので分かりませんが、あまりスタンダードではない気がしています。CFOの役割は近年非常にカバー範囲が広くなり、専門性も高くなってきてますから、忙しいという実情もあります。私ももちろん、忙しいです。。

先に取り組んでいる方の事例が無いため、色々と上手くいかないこともあると思います。できる限り、分かりやすくお伝えする努力をして参りますので、みなさんの応援やブラッシュアップするためのご意見などを頂ければ幸いです。

もっと個人投資家にも分かりやすい開示を増やして行こう

私の取組が良い事例となれば、他社も参考にされるかもしれません。そして、より多くの企業が個人投資家にも優しい開示を行い、多くの個人投資家が正しい情報を元に投資判断する社会になることを望んでいます。

皆様からの応援を頂ければ幸いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?