ChatGPTは、決算説明資料の内容を分かりやすくできるのか?
最近話題のChatGPT。
人類の生産性を向上させる上での革命的なテクノロジーであることから大きな注目が集まっています。
株式市場においては、決算説明資料や適時開示において「ChatGPT」関連の取組強化を発表することで、短期的に株価は急上昇している銘柄も多くあります。
賛否両論ありますが、実際に使ってみてどんな感じになるのか試してみました。
※念の為ですが、私は今回ご紹介する株式を保有しておりませんし、個別銘柄の推奨等を行うものではなく、あくまでChatGPTと決算説明資料との相性を実験することを目的としております。
投資は自己判断でお願いします。
アピリッツ(4174)
2023年3月17日に本決算の発表を終えたアピリッツ(証券コード:4174)。
Chat GPTに与えるスライドはこちらにしました。
運営が順調であるのに、減損するというややテクニカルな内容になっています。
通常は、運営が順調でない場合に、本来見込んでいた将来のキャッシュフロー回収が難しくなるため、減損処理を行います。
そこでChatGPTに与えた私の要約文章が以下の通り。
決算説明資料の内容を読解し、インプットしました。
出来上がった文章はこちら。
「この文章は、ある企業が「のれん」という無形資産を持っていたが、その回収が難しいと判断し、減損を行うことを決定したことを述べています。具体的には、当初は24ヶ月で回収を予定していたものの、18ヶ月で回収率が110%に達し、本社費を加味した場合の回収率は57%であったため、戦略的に減損を判断し、来期以降の減価償却費の負担を減らすことを目的にしたということです。
ただし、この企業が運営する「けものフレンズ」は順調に運営されており、運営収益は問題ないようです。そのため、今回の減損によっても運営に支障はなく、利益を出しやすくなることが期待されています。」
という回答でした。
箇条書きっぽい文章を与えると、Wikipediaっぽい感じの文章に直してくれるという感じでしょうか。
文末など、細かな気になる点を改善してしまえば、そのまま活用することができそうな文章です。
プレミアムウォーター(2588)
ChatGPTに与えた文章は以下の通り。
ほぼ資料に記載のままです。
「プレミアムウォーターは天然水を販売する企業で、8つの水源を保有することで、配送先の近くの水源から天然水をお届けすることが可能になりました。これにより、地域ごとに適した水を提供することができ、より高品質な商品を提供することができます。
また、保有顧客の増加にあわせ、独自の自社物流網を拡大させることにより、物流の効率化を実現しました。これにより、配送コストを削減することができ、商品価格の競争力を維持することができます。さらに、自社物流網により、商品の品質管理を徹底することができ、より安全で確実な配送を実現することができます。」
なかなか、良い感じの文章になっています。
分かりやすいかも。
ツクルバ「決算短信」(2978)
最後に、決算短信の文章を与える実験をしてみます。
2023年3月17日に発表された決算短信と、決算説明資料の組み合わせで与えてみます。
決算説明資料からは、「構造的なテイクレート改善」に向けて取り組んでいるという文章を付加しました。
結果は、こんな感じです。
「cowcamo(カウカモ)事業は中古・リノベーション住宅のオンライン流通プラットフォームを運営しており、中古・リノベーション住宅の仲介を行っています。この事業における外部環境は、新築マンション価格の高騰により中古マンション流通の拡大が見込まれ、また、リノベーションに対する顧客の認知度の高まりによりリノベーションマンション流通市場が拡大していることが挙げられます。
この事業では、構造的なテイクレートの改善に向けて取り組んでいます。具体的な取り組みとしては、オンライン流通プラットフォームの拡充やリノベーションの専門知識を持つエージェントの採用・育成などが挙げられます。また、市場動向の把握や情報収集にも力を入れており、最適な提案を行うことで、より多くのお客様にサービスを提供しています。」
テイクレートの改善取組について、情報を勝手に付加してくれている感じです。実際にツクルバがこのような取組をしているかというと、決算説明資料の内容とは異なっているように思えますが、何となくそれっぽいです。
まとめ
箇条書きを与えると文章っぽくしてくれたり、マクロ環境に関する一般的なキーワードは補完した文章を返してくれる印象です。
一方で、その内容がそのまま活用できるのかについては、判断が必要となりますので、ざっくりとしたアイディアを箇条書きに分解してChatGPTに与え、詳細をブラッシュアップしたりするのには活用できそうな印象です。
これまで日本の企業は、決算説明資料のブラッシュアップに力を入れてきましたが、ChatGPTの登場により、再び決算短信のブラッシュアップが期待できるかもしれません。
文章の自動生成や英訳など、ChatGPTでの開示活用が進めば、海外投資家にももっと理解が深まるかもしれません。
以上、暇潰しの実験結果でした。
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