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もしかしてビートルズ(その1)

僕が書いてゴトー&カメレオンズやソロでやっているナンバーで「部分的にBeatles」というのがある。

これは友人宅でBeatlesフォロワー、俗に言う「ビートルズの遺伝子」を持ったバンドやアーティストをこれでもか、と聴かせてもらった時(その友人の膨大なコレクションと知識、理解と解釈の深さには脱帽だ!)、「こういうバンドはそれぞれBeatlesに似てるけど、Beatlesではないよな・・・。それぞれが思うBeatlesなんだな・・・あっ、もしかしてこれは世界中のBeatlesファンの数だけBeatlesがいるのかも!」とひらめいたわけ。

逆にBeatlesナンバーで、「あれ?もしかしてこれってあの曲から持ってきたのかも!」とひらめくものも多い。しかし、そう言った関連曲がなんであるかなんて僕がここでわざわざやらなくても世の中にいくらでも指摘されている。実際、ジョンは「バレないかいつもヒヤヒヤしてたものさ!」なんて言う発言があるくらいだから「持ってきちゃった」例はかなりありそうだ。このコーナーではそういう彼らのインスピレーションになったと思われるけど世の中で指摘されてないものを挙げていきたい。もちろん、僕が気づくくらいだから世界中のどこかでは指摘されていると思うけどね。

では、第一回はこの曲。
FROM ME TO YOU

From Me To You - 言わずと知れたビートルズの英国における3枚目のシングルである。この曲、キーはCで始まるが、ミドル8に入ると、Cのキーでは普通出てこないGmに飛んで、そのあとC7そしてF・・・というFのキーに転調するのである。3枚目にしてこの離れ業。

この曲はヘレン・シャピロと英国巡業中のバスの中で書いたと言われ、ポール自身、この転調に関しては自身満々で次のように述べている(https://www.beatlesbible.com/songs/from-me-to-you/)。

That middle eight was a very big departure for us. Say you're in C then go to A minor, fairly ordinary, C, change it to G. And then F, pretty ordinary. But then it goes, 'I got arms...' and that's a G minor. Going to G minor and a C takes you to a whole new world. It was exciting. (The Complete Beatles Recording Sessions, Mark Lewisohn)

このミドル8は僕らにとって大きな進歩だった。キーがCでAmにいくと、それってまぁ、普通だよ。で、C、Gと来てF。これも自然だ。だけど、"I got arms~"に来た途端Gmだよ。キーがCなのにGmにいくってのはまったく別世界に行くようなものだからね。興奮したよ。

まるで世紀の大発見をしたかのような語り口だが、ちょっとこのELVISの"I Want You, I Need You, I Love You"を聴いてみて欲しい。まさにこの同じ転調をしているのだ。ポールがELVISのこの曲を知らないはずはないし、ギターで弾いてみなかったとは絶対思えない。ほかのインタビューでも「あのブリッヂ(=ミドル8)は完璧だ。転調するんだ」みたいなことを言っているが、ELVISのこの曲については一切言及がない。皆さんご存知のとおり、"I Saw Her Standing There"のベースがチャック・ベリーの"Talking About You"まんまであることについてはポールは堂々と白状しているんだが・・・。

このドミナント・マイナー(キーがCならGマイナー)への展開は気持ちいいので、この曲だけでは飽き足らず必殺の5枚目"I Want To Hold Your Hand"でも使っている。

※ちなみに僕は"From Me To You"の♪ダラリーダラズンズンダーを「サラリーマンは散々だ~」と日本語化して自分のバンドで歌っている。


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