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地熱VOL.4 ② ◾️1996年

この頃、渋谷のクラブFAMILYによく行っていた。まだエントラスに入ってすぐの所にDJブースがある頃だ。セロリのイベントでDJの機会をもらったりしているうちに、店長のマサコさんと仲良くなった。開店直後の早い時間にDJをしてほしいと連絡があると、15分後には到着する便利さだったので週に5回も行ったことがある。平日に頑張った報酬として週末のマスターキーさんのイベントでプレイさせてもらった。それも開店直後だったが…


家はクラブFAMILYまで徒歩圏内だった。


クラブFAMILYのイベントでまだ早い時間に外でニンクウと話した。小さくて声も高くて中学生くらいに見えた。

ーー ニンクウの事は、数日前にあったDAS EFXのライブに飛び入りでフリースタイルをしていて、めちゃくちゃラップの上手いヤバい奴がいると噂を聞いていた。

その場でフリースタイルのラップをしてきたので、少しだけ聴いて「今から録音しよう」と誘った。それくらい聴いたことがないスタイルのラップだった。

これからクラブが盛り上がる時間帯だったが、僕の家に移動してビートもその辺にあったレコードで適当に決めて、すぐに録り始めた。

期待を上回るヤバいフリースタイルを続けるニンクウ。まず声がすごい。リズムの乗り方が気持ちいい。歌詞はあまり意味がわからないけど一語一句聴き取りやすい。そして、長い。そろそろ終わりそうな雰囲気だなと思ってビートに上ネタを入れたのに、まだ終わらない。どんどん新しいフローが湧き出てくる。終わらないフリースタイルに困惑している僕にニンクウが気付いて、ラップの途中で笑ってしまっている。


実はこの日、餓鬼レンジャーの3人が家に泊まりにきていた。ヨシ君とコガは何処かに遊びに行って外出中だった。録音中、シンはシャワーを浴びていた。(それくらい家に着いてすぐに録音した。)ニンクウのフリースタイルで「シン君、シン君、禁句」という風に聴こえる部分があって、シンはシャワーを浴びながらディスられているのか?と思っていたそうだ。この話は僕が勝手に膨らませて「バスルームから出てこなかった」と面白い話にしていたが、よくよく思い出すとシンは出てきたし、ニンクウとも話していた。


こうして偶然の出会いからニンクウのフリースタイルを追加で収録して地熱VOL.4は完成した。ミックステープは今聴くと下手くそすぎて恥ずかしいが、満足する作品ができて僕は自信満々だった。


この地熱VOL.4はしばらくの間、ミックスクラウドで聴けます。↓↓↓

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