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地伝#X ■1996年 地熱VOL.4のきっかけ

このテープを作る頃、僕はニューヨークには3回行っていた。何より楽しみだったのはヒップホップ専門のラジオ局、HOT97だ。

トップ画像はブルックリンブリッジで撮影した一枚。ショックウェーブでラジオを聴いている。

とくに好きだったのはHOT97の昼とか夕方、DJのミックスではなくて何でもない時間に、いろんな曲がごちゃ混ぜで流れることがよくある。流行りの曲の次に20年前のソウルが流れたり、ゴリゴリのヒップホップのビートの次にゆったりとしたR&Bが流れたりという感じだ。でも、街の景色や匂いがバラバラの曲を繋いでくれて新しい聴こえ方がしたり、曲に自分だけの新しい価値観が生まれたりする。そんな風に曲を聴くのが好きだった。

日本のFMラジオでは全然ヒップホップは流れていない。スマホやストリーミングも無い。ヒップホップに限定したミックステープや、アーティストのアルバムでは僕がニューヨークで感じたような選曲の意外性を得られない。そんな理由から地熱VOL.4はいろんな時代、ジャンルの曲を選曲したいと思っていた。それでいてヒップホップのミックステープとして筋が通ってるものが理想。

そんな事を考えている時にDJ ケンセイさんのミックステープ、ILL VIBESが発売される。エクスクルーシブな日本語ラップが収録されていた。日本語ラップの新曲を聴くにはレコードやCDの発売を待つしかなく、もっとたくさん聴きたいとヘッズが飢えていた時代に投下されたのだ。

地熱に日本語ラップのフリースタイルを入れるようになったのはILL VIBESに影響されたことは間違いない。当時の自分を褒めたいのは聴いたその日に餓鬼レンジャーとマグマに連絡をしてミックステープを作るから音源を送ってほしいとすぐに行動を起こしたこと。恵まれていたのは世間に広めたい仲間がいたことだった。

そうして今まで作ったミックステープとは違う考え方と熱量を持ち、構想を練っていく。

くわしくは音源と共に次回に続きます。

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