指標から見る涌井秀章

明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い致します。

さて早速ですが本題へ。
本日は、金銭トレードでの加入が発表された涌井秀章選手について指標から分析していきたいと思います。

衝撃でしたね。
涌井選手の素晴らしい戦績についてあえて触れる必要はないと思います。
ただ近年の成績から活躍する見込みあるの?という疑念がある方も多いかと思うので、今回は指標の観点から検討していきたいと思います。
指標に詳しくない方は前回紹介した投手の評価に関するnoteも合わせて読んで頂けると、より理解が深まるかと思います。


移籍後の成績①

まずはこちらから

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中継ぎ登板がメインだった2012,2013シーズンを除くと、3勝はルーキーイヤー(1勝6敗)以来最少、防御率もルーキーイヤー(7.32)に次ぐ最低レベルの成績に終わりました。
投球回も2015,2016をピークに減少し今季は104イニングに終わり、若手の台頭もあり出場機会が減ってきているのが伺えます。


投手成績と守備力

前回のnoteで防御率と守備の関係性について触れたので、千葉ロッテマリーンズの守備を確認をしてみましょう。

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お世辞にも良いとは言えない守備力であり、防御率への影響が十分に考えられます。

一方楽天イーグルスは守備指標で12球団の最下位争いを長年繰り広げていましたが、2019シーズンは辰己を中心に守備全体に良化傾向が見られ12球団中3番手につけており、バックの守備力を考えても十分に防御率を良化させる可能性はあると思います。
また今季の涌井選手のDERが.652と非常に低いので、守備に加えて運の要素もあるのかもしれません(よく分からない)。


投手成績と球場特性

前回のnoteでは投手成績と守備の関係性についてまとめましたが、インプレー打率を決めるその他の要素として球場(11%)があります。
ZOZOマリンスタジアムといえば、強風が吹き荒れる球場として有名で、ホームラン性の打球がただの外野フライになったり、打ち損ねた打球が内野と外野の間に落ちる光景もしばしば見られます。
実際2018シーズンまでの涌井選手のtRAと防御率を見比べてみると、守備力が劣る割には防御率が上振れしてる年もあり、球場の恩恵を受けてる可能性はあるのかなという感じがします。

2019シーズンに入りZOZOマリンスタジアムでは「ホームランラグーン」が設置され、その様相が大きく変化しました。
これは球場ごとのPF(パークファクター)を示したものです。

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前年までの5年間は0.51-0.88と非常に本塁打の出にくい球場でしたが、ラグーンの設置によって他球場並みにホームランが出やすい球場に生まれ変わりました。
実際、ホーム/ビジターの成績を比較すると、

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試合数やイニング数はほとんど同じですが、特に本塁打を多く浴びて防御率を悪化させているのが分かります。
このように球場の仕様変更が2019シーズンの成績悪化に大きく影響を与えている可能性が高いことが推察されます。

移籍後の成績②

次に先程の成績表に、いくつか指標を加えて見てみます。

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投手WARにも採用されているtRA(真の失点率)を見ると、2017年は大幅に悪化していますがその他は最多勝を獲得した2015年と比較してもそれほど大きく数値を落としていないことが伺えます。実際に2014-2019年の6シーズンの涌井選手の防御率とtRAを90イニング以上投げた投手と比較してみると、

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こうして並べてみると、防御率の順位とtRAの順位は異なることが分かります。
不本意な成績に終わった涌井選手ですが、今年の成績はtRAという指標で切り取ると決して悪い数値ではないですし、逆に最多勝を獲得した年は指標上は上振れした成績だった可能性があることが見えてきます。
また今季は四死球が少なく三振を多く取れている点もプラス材料かな、と感じています。
因みに今年90イニング以上投げた楽天投手陣と比べると美馬(4.29)、岸(4.27)、辛島(4.91)、石橋(5.01)で涌井選手が指標上は最も良い数値となります。


懸念材料

ここまで守備や球場の仕様変更、投手指標を交えてどちらかというとプラス材料についてお話ししました。
個人的にはここまでを踏まえてある程度の活躍は期待できると考えてます。
最後に気になった点をいくつか挙げたいと思います。

①年々上昇するHR/9、HR/FB
今年はホームランラグーンの影響がありましたが、それを除いてもここ数年でこれらの数値が上昇傾向にあることは気になります。
ただ全体として、ここ3年はその前の3年と比較してホームランがある程度(年間300ほど)増えているのでボールの影響等もあるかもしれません。

②強い打球の増加
強い打球の割合を示したHard%は32-34%(リーグ平均32%)で推移していましたが、今季は38.5%と跳ね上がっています。
これが打球処理(DERの低下)やホームランの増加に繋がった可能性もあるかもしれないです。
ここは運の要素なのか、ボールの力や制球力の問題なのか、実際に見た試合がそこまで多くないので判断しかねます。
今年は少し気をつけてみてみたいと思います。

③年齢
涌井選手に限った話ではないですが、来季33歳になるので、向こう数年どれくらいのパフォーマンスを維持できるかは気になるところです。
まだまだできる年齢ではあると思いますが。


最後に

以上、涌井選手の成績を守備や球場の影響、指標等を用いて分析してみました。
あくまでも指標上でのお話ですが、参考になれば幸いです。
最後に懸念材料を少し並べましたが、まだまだ活躍を期待できる投手だと思います。

また石井GMが「彼はハードワーカーなので練習の姿勢やその背中を若手たちに見てほしい」と語っているように、球界を代表する投手から若手への影響にも期待したいです。
加えて、嶋選手が抜けて捕手の見本となるべく選手が欠けているため、若手捕手を引っ張り成長させてくれることにも期待しています。

個人的に昔からとても好きな選手ですので、楽天イーグルスで輝く姿を見せることを期待して本間noteの締めとさせて頂きます。

長くなりましたが、読んでいただきありがとうございます。
ツイートするので、リプライや引用リツイートでご意見等頂けると幸いです。


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