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最近読んで面白かった本

『宇宙からの帰還』(立花 隆)
数年間かけて、世界最高クラスの天才があらゆる準備を行っても、残り数分で亡くなってしまう状況に落とし込まれる宇宙開発のリアルを体感できる
天才が、何十人も束になって宇宙物理学と最先端のコンピュータを駆使して、何とか成功に持ち込んでいると考えるとイーロンとかJAXAに対して、結果だけみて感想を言う愚かさを感じる
クリスチャンの宇宙飛行士が、米ソのトップが宇宙で会談を行うべきだという提案をしていたりする。クリスチャンのアメリカ人が、神や天国を信じてるが、宇宙ではそれすらも超越したものを感じたとが話しているのも新鮮で面白い
とにかく宇宙飛行士は、物理学、工学、計算機科学、地質学などの学問を理解した上で、肉体的に鍛え抜き、国民代表としての人格の良さも求められる、という人類代表感が感じられて、非常によかった
それを裏で支えるサイエンスにも感動させられる


『量子革命―アインシュタインとボーア、偉大なる頭脳の激突―』(マンジット・クマール)
『半導体戦争』(クリス・ミラー)

「半導体戦争」という本が、現代を理解する上で大事だと思っていたが、その少し前の時代は物理学が大事だったのだと気付かされる本
アインシュタインは数学の勉強をしていなかったことを後悔していたのも面白い(一般人に比べたら死ぬほどできると思うけど)。職がなくて、特許局で働かせてもらって、その片手間で相対性理論を作り上げたことを歴史としてみるのも刺激的なストーリーだった
近代ドイツの工業発展手段としての物理学研究や、ナチスがノーベル賞保持者に対して原爆の開発を依頼したが科学者たちは正義の名の下に断ったこと、ユダヤ人としてのアインシュタインなど、物理学の歴史を俯瞰できる
オッペンハイマーの映画を理解するためにもおすすめ。


『菊と刀』(ルース ベネディクト)
中国人の国際文化研究者に、日本文化についての講義でのゲストスピーカーを頼まれた。その際、「菊と刀を題材にするけど、日本人なら当然読んでるよね?」と言われ、一晩で読んだ。
第二次世界大戦中のアメリカにおいて、日本を分析するために、日本に一度も来たことがないアメリカの文化人類学者が、在米日本人や、日本に訪問したことある人の著作を元に書いた本。「武士道」や「禅と日本文化」など、日本人が海外の人にむえて書いた本と逆の本。「日本人は、恩や義理を会計を行うように、天秤に乗せて、釣り合う状況を維持し続ける」という記述が、まさに芯を食っていた。


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