読書記録 vol.2『死ぬこと以外かすり傷』

《本書の概要》
 編集者以外に多くの顔をもつ、近年出版業界で最も名前を聞く箕輪厚介氏の生き方について記した一冊。各章を、考え方、商売のやり方、個人の立たせ方、仕事のやり方、人間関係の作り方、生き方、とタイトルづけ、「熱狂」をモットーに箕輪氏のスタンスを書き綴っている。

 幻冬舎という会社組織に所属しながら、まるでフリーランスのように縦横無尽に仕事をこなす箕輪氏に学ぶ点は多い。組織という利点を十分に活かしつつ、自分のやりたいこと(「熱狂」に繋がること)を実行する姿勢には、今後の日本における働き方の手本が詰め込まれているかもしれない。

《本書で得られた気づき》
▼「自分」というブランド
 会社組織の所属の有無にかかわらず、「自分の値札」を意識する必要性を説く。「自分」という個体が社会にどのように認知されているかを認識しつつ、どんな「金以外のもの」を稼ぐことができているか、「自分」というブランドが確立できているか、を語る。

 「ブランドに人も金も付いてくる」と語り、「失敗こそ最高のブランド」と叫ぶその奥には、どれだけ自分が実績(結果)を残すかとともに、リスク承知で勝負に出ることの大切さを含みこませている。

 自分になにができるか、それ以前に自分が何者であるか。「●●株式会社の○○です」という肩書ではなく、「●●という実績がある自分」という確固たる市場価値を見出し売り出さなければ、自分という個体をブランド化させることは難しい。

▼「数字」と戦う
 「熱狂」という、一見思うがまま・わがままに聞こえる文句であるが、その実、「わがままでいるために数字と戦わなければならない」と語る。自分のやりたいことを実行するためには、その先にある数字を見据え、結果を出し続ける必要があることを十分に承知しているのだろう。

 安定・安心・安全のものを作るのではなく、民衆が求めてもの(楽しい情報)と自分のやりたいことの調和を考えて新しい世界を切り拓いていく。そのために、スピードや量を意識して、がむしゃらに仕事に没頭する。そして、結果(数字)を出す。

 昨今、明確に「やりたいことを仕事に」というメッセージが叫ばれている。しかし、結果に結びつかなければ、その仕事に先はない。そこはシビアであるべきことを、箕輪氏は十分に理解しているのだろう。

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箕輪厚介『死ぬこと以外かすり傷』(マガジンハウス、2018年8月)
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