武豊は、スターだった。そして今も。

自分が見た、感じた、スターという存在を形にしてみたいと埃のかぶっていたノートパソコンを開いた。
思えば、それは3週間前のことだ。時の流れは残酷だなんて、20代で言っていい権利は、少なくともぼくにないだろう。

6万人超が詰めかけたそこは、何年振りかの東京競馬場。
2022年5月29日。その男は、会場を1つにした。

競馬を連想する言葉、”ギャンブル”。
ギャンブルには勝つ人間もいるし、負ける人間もいる。
負けた人間は必ず、誰かしら文句を言う。誰かしら、必ず、である。
だけど、世の中には、その”必ず”を覆すことのできる人間がいるのだと、知った。”必ず”は、必ずではなかったのだ。

武豊ジョッキーが1着でゴールした瞬間、あなたの握りしめていた何万円は、0円になったかもしれない。
でも、気づけば、あなたの何万円を奪った相手に声をあげている。「ユタカ!」と声をあげている。
負けた人間は必ず、誰かしら文句を言うのだ。
ある集団は、「誰も当たってねえじゃん。ユタカふざけんな。」と笑っている。一人で来ているオヤジさんは、「あいつがいなければ当たってたのによォ」と笑っている。
文字にすれば文句なのか。そこには、1つの文句もなかったのだ。
東京競馬場に集まった6万人。
勝ち負けを忘れ、6万人は「ユタカ」と叫んだ。

日常に競馬が帰ってきた。競馬場にお客さんが帰ってきた。
そこで、勝ち切った。競馬場を1つにした。

次回は、凱旋門賞への挑戦にするようだ。日本の悲願だ。
スターは、大変だ。日本は、武豊に惚れている。
スターは、大変だ。日本は、武豊に期待してしまっている。
スターがフランスの地から、日本を1つにする瞬間が見えてしまっている。

(あとがき)
ぼくの稚拙な文章では、あの感動が伝えきれないと思います。
ですので、ぜひ、YouTube等でレース動画をご確認ください。

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