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北大を選んだ理由

特別やりたいことがあったわけではない私は、高3になっても志望大学を絞れずにいた。模試のときに書く大学名も毎回てきとう。「こんなんでいいのかな」と不安な気持ちのまま、受験勉強をしていた。

偏差値、通いやすさ、学費…。そんな項目をチェックしながら、なんとなく「ここなら行けそう」という大学に目星をつけ始める。

・弟もいるし、学費は高くない方がいいから「国立大学」がいいな
・家から通える範囲となると「埼玉、東京、千葉あたり」
・偏差値は今の自分よりもちょっと高めで

そんな風に少しずつ絞り込んでいくと、ある程度「このあたりかな」という大学は見えてくる。大学のHPを見ると、なんとなく楽しそうなキャンパスライフが見えてくる。研究内容も難しくてよくわからないけど、楽しそう…。

だけど、それくらいの「行きたさ」なら、どの大学でも同じように見える。先月はこの大学がよく見えたけど、あの子が言ってたこの大学もよさそう。そうやって、コロコロ変わっていく自分の心に振り回されて、どうしたらいいのか分からなくなっていった。

行きたい大学が定まらず、「本当に私が行きたいのはどこなんだろう」と不安になれば、勉強に力も入らない。そんなある日、私は自分のスマホに「国立大学」と打ち込んで検索をかけた。

すると、面白そうな大学は関東圏の外にもたくさんあることに気がついた。関東にしか大学が無いと思っていたわけではないのだけど、それまではなんとなく対象外だったのだ。

そこでパッと目に入ったのが「北海道大学」だった。旧帝大のリストを見ていたら、一番上にあったのがそれだったのだ。北海道。行ったことは無いけれど、なんとなく牧場と雪まみれのイメージだ。

面白くなってきて、北海道大学のHPを見る。四季折々の美しいキャンパスの姿を見てドキドキした。今までの人間関係がごちゃごちゃと詰まった埼玉を出て、誰も知らない北海道で自然に囲まれながら過ごす自分を想像する。

「なんて素敵なんだろう。」

その日から、私が行くのは北海道大学と決めた。今まで候補だった大学はどうでもよく見えてきて、「ここに行くために頑張ろう」と思えた。一人暮らしの自由な生活を夢見て、楽しそうなキャンパスライフを思い描きながら、受験勉強に挑んだ。

私が北海道大学を選んだのはただ「そこでの生活が魅力的だったから」だ。

オープンキャンパスにはいかなかったし、北海道に行くのは受験の日が初めてだった。学部のことも、偏差値のことも考えず、あんなにてきとうな決め方をしたのに、心がぶれなかったのは不思議だ。

憧れの大学に4年間通っていると、何もかも完璧にいくことはない。高校生のとき思い描いていた理想のうち、現実になったのは半分くらいだ。もっと少ないかもしれない。一方で、あのときは想像もできなかったような、おもしろい経験もできた。(スキューバダイビングとか笑)

だからときどき、私は昔の自分を思い出す。ひとごとのように「あのとき頑張ってよかったなー」なんて思いながら。

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