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アプリで出会っただけなのに/粘着質な男性を一本釣りしたハナシ

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5ヶ月ほどまえ、わたしは猛烈に出会いを求めていた。

夫の三回忌が終わり一区切りついた気がしていた。気力も戻ってきて、オカルトヒーラーの施術で性欲が高二男子になっていた。

アプリ始めてみよっかな、試しに登録してみた。わたしのプロフィールを見て男性が「イイネ」をしてくれて、わたしもその男性を「イイネ」したらマッチング成功。メールのやりとりが始まる。(もちろん女性側からイイネすることもできる)

わたしの条件である、同じ県内に住む人で、離婚か死別でそれなりに経験を積んでいて、年齢がちょうど良くて、結婚願望がなくて、わたしに執着しないで、キモくない人はなかなかいなかった。

わたしは夫に猛烈に執着されたので、粘着質な人だけはなんとしても避けたかった。その点だけは慎重だった。


何人かやりとりしてみたけど、なんだか面白くないし、そのうちめんどくさくなって、結局やりとりが続く人はいなかった。

そんなある日、可愛らしいヤンチャそうな感じの男性からイイネがついた。歳は少し上、建設関係の仕事をしている人だった。とても派手な服装をしていて、でもその感じが嫌いじゃなかった。なんとなく今まで出会ったことのない雰囲気に惹かれてわたしもイイネしてメールのやりとりがはじまった。

彼は見た目に反してとても礼儀正しい文章を送る人で、マッチングしてから二週間くらいはずっと敬語だった。朝の「おはようございます!寒いですね〜!今日も1日がんばりましょう。」みたいなメールから始まり、お昼休憩に少しやりとりをして、寝る前に「おやすみなさい」のメールがきた。

そのころのわたしは女風のセラピストに恋か分からん何かをしているところで、心がかなり乱れていたので、その優しいやりとりに安らぎを感じていた。

基本、朝のおはようから、お昼休憩に少し質問などを交わして、夜のおやすみまでが一連の流れとして自然にわたしの生活に組み込まれていった。

わたしたちは少しずつやりとりを通して仲良くなっていった。メールのやりとりだけだったが、なんとなくわたしと彼はフィーリングが合うような、違和感のないカタチに自然に収まっていく感じがあった。彼は自分の服装が派手なこと、親がいないこと、入れ墨をほっていることなどを気にしていたが、わたしはそんなことはどうでもよかった。だって結婚するわけでもないし、一生付き合うわけでもない。

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うれしくて涙がでるよ