第10話:まさか③

前々回のあらすじ:悪夢の誤ロンから立ち直りかけてからの4連敗の先に待っていたものが、僕の人生の中でも記憶に残っている金沢での出来事を思い出させた。

明らかにおかしな話だったので、きっぱり断ったはいいが、そこから逆襲が始まった。

「あなたは、この話しを聞いてしまったので、もう「共犯」になるわよ!」

「あなたの上司のことも良く知っているんだから、もう逃げられないわよ!」

もの凄い勢いで煽られたが、きっぱりと断り席を立ち振り切りように店の入り口から蒸し暑い外に出た。

「こんな子供だましのような話に引っかかる人なんているのかなー」なんて思いながら、足早に家に向かったが、この一言だけが気になっていた。

「あなたは、この話しを聞いてしまったので、もう「共犯」になるわよ!」

こんな話に乗るつもりは全くなかったが、話しを無理やり聞かされただけで共犯になるなんて、まっぴらごめんだった。今思えば、こんな話を聞いたところで共犯になんかなるわけないし、そもそもでっち上げた嘘の話なんで共犯になんかなるわけがない。今、思えば当たり前なんだけど、、、

それから、毎日のように電話が掛かってきた。

「話しを聞いてしまったんだから、最低でも一口50万円を払いなさい!」

その当時は、携帯もまだあまり使っていなかったので、会社にまでバンバン電話を掛けてくるので、めんどくさくなりママがいるお店に直接行きもう一度断った。

「わかったわ。。もういいわ。だけどそれだと困るから50万円貸して欲しいの。書類も作るし、それこそあなたの上司に言ってもらってもいいわ!」

たまたま手元にお金があったのと、確かに上司の知り合いということもあるので、貸し倒れはないだろうと思い、その場で50万円を貸した。週末のレースが終わったらすぐに現金化できるからすぐに返済するという約束だった。

週明けの月曜日にお店に電話をしてみるとまだ時間が早かったせいか誰も出なかった。この週は仕事が忙しかったので、この電話をしてからは僕からは電話をしなかった。

毎週月曜日の午前中は、全体会議のある日だった。その日もいつも通り、支店長の挨拶から始まり、各グループ長からの報告や営業トピックスなどの共有をし、そろそろ会議も終わりかけていた、、、

毎回、会議の終わりには、保険金の支払い事項的なことの共有が行われるのだが、僕のお客様は比較的若いこともあり、入院やそれこそ死亡などはなかったため、毎回会議の終盤は聞き流すだけだったが、一瞬耳を疑った。

「清水さん、今の被保険者の人の名前をもう一度言ってもらえますか?」

まさかとは思ったが、「ママ」の名前だった。同姓同名もいるとは思ったが、上司の顔を見たら、静かにうなづいていた。亡くなられたのは、「ママ」だった。

自ら命を絶ってしまったのだった。

会議が終わるや否や、会社から徒歩5分ぐらいにあったママのお店に行ってみたら、お店はもう空っぽになっていた。

僕は茫然とお店の前に立っていた。

騙されたという想いよりは、本当に困っていたのだったら、あんな嘘まで言わないで正直に言ってくれたら良かったのに。。お金を貸すかどうかは分からないけど、他にも何か対処できたはず。

あの得体も知れない薄気味悪さは、ママが何かしらの理由により決意したことからくる尋常ならぬ想いからだったのかも知れない。

人生色々あるが、理由はよく分からないが人に会った時に感じる「予感」は、結構当たってしまう。特に「悪い予感」みたいなものはよく当たってしまうように感じる。

そう、長くなったが話を麻雀に戻そうー!

上家のエロカワがドラをカンした。あがられたら親マン以上だ。

その時に嫌な薄気味悪さを感じた。危ないと分かっているのに、引きずり込まれたあの金沢のママのように。。

まだテンパってもいないのに、なぜか危険牌の「4ピン」を切ってしまった。悪い予感はやはり当たってしまった。

エロカワが声だかに「ローン!」

親マンに振り込んでしまった。カンをしていたので、裏ドラをめくってみるとなんと同じドラだったので、ドラが8個・・・

親の倍満に振り込んでしまったのである。。。。。

【今日の学び】

話しは長くなったが、嫌な予感というものは得てして当たってしまうことが多いので、そんな時は直感に従った方がいい!オカルト的かも知れないが、人間の何かを察知する能力は計り知れない能力だと思う。


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