見出し画像

公演を延期にした話

先日、Twitterで吉祥寺GORILLA第三回公演『誰か決めて(仮)』の上演を延期することを発表した。第二回公演『グロサリー』の当日パンフレットで「暑さが落ち着いた頃に出来たらと思ってます」なんてぼんやりと告知したものだ。しかし、オーディションも開催し、今年度の公演の準備は進んでいた。


本当に出来るのだろうか、出来たとしてお客さんは来てくれるのだろうか、という不安をここ数カ月抱えながら生活してきた。

劇場は予約していた。今まで公演をしてきたところより大きいところだった。今までより多くの人にオファーするつもりだったし、公演自体の規模も大きくするつもりだった。そのタイミングでの新型コロナウイルスの感染拡大。自分が演出助手で入っていた現場も延期と中止、夏に入る予定の公演も白紙になった。そこに加えて、祖父の死と家族の入院。こんなに色々重なるものかと3月と4月はクラクラした。否が応でも、生き方、人生について考える時間になった。5月は生きるためにバイトして、世の中の動きを見ていた。

そして、とうとう6月になった。様々な面から考えて、決めるならこのタイミングだった。とても迷っていた。正直、やりたかった。劇団員とも話し合ったが、すぐには決められなかった。第三回公演のタイトルが『誰か決めて(仮)』なのを見返して、なんて皮肉なんだろうと思った。本当に誰か決めてくれないかなーとも思ったが、決めるのは主宰の自分だ。公演予定は数カ月先だったし、その頃なら出来るんじゃないか…と思ったが、「やろう!」と強く言えない自分がいた。

延期を決めた。

理由なんて挙げればキリがない。おそらく、これを読んでいるあなたが思い浮かべているものも理由の一つだと思う。

交渉をしていたキャスト、スタッフに順番に連絡して、発表の文面を考え始めた。申し訳なかった。キャスト、スタッフ、お客様。まだ1年の小さな劇団だが、声をかけてくれる人、気にしてくれる人がいる。本当にありがたいことだ。そういう多くの人に支えられている。いつもありがとうございます。


自分は延期を決めたが、これから公演を行う団体のことを否定するつもりは全くない。これは本当に。これから自分がスタッフ参加する現場もある。やるからには様々なことに気を付けながら頑張ろうと思う。自分が出来なかったからってわけじゃないが、やる団体には最大限協力していきたい。

ここから世の中がどの方向に進んでいくかは分からない。ここ数日は東京の感染者数もけっこういるみたいだ。自分がなることよりも誰かに無意識のうちにうつしてしまうことの方が怖い。まだまだ以前の日常と同じ生活に戻ろうとは思えないが、演劇を取り巻く環境を注意深く見つめつつ来年の公演の準備を始めようと思う。

力を貯めて、劇場に戻る。

一日も早く、安心して、皆が演劇に関われる日が来ることを願う。



サポートいただけると嬉しいです。いただいたサポートは自分と劇団を支えるために使わせていただきます。