最近読んだ本の記録

最近といいつつ1年前くらいに読んだ本と、本当に最近読んだ本の感想。
2冊ともアメリカ人作家による短編集。

掃除婦のための手引き書:ルシア・ベルリン
著者の私小説なのか、それとも実体験をベースにしたフィクションなのか
わからないが、ある女性の日常を描いた短編集。
ある時は掃除婦、またある時は刑務所の先生、アルコール中毒の母親だったりする。ひとりの中にこれだけの顔があることに驚く。調べたところによると大学の講師をしていた時もあったらしい。自分に降りかかった暴力や誰かの死を当たり前のようにさらりと描いているのが印象的であった。

愛について語るときに我々の語ること:レイモンド・カーヴァー
GW中に読んだ本。こちらは主人公も話のテイストもそれぞれ異なるが、結婚生活あるいは家庭生活に疲れた中年男性が多く出てくる。
なんとも嫌な感じのする話が多くて読んでいて疲れた。誰の人生でも起こりえる、できれば避けたいドラマ(離婚や配偶者の浮気など)の情景描写が凝っていた。別れる寸前のふたりが話しているキッチンはそんなに綺麗じゃないのだろうとか、嫌でも想像してしまった。

2冊ともドラマチックではないドラマを丁寧に描いており、エンタメ小説とはまた違う良さがあった。翻訳も癖がなく読みやすい。


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