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丸太を積む (1)

1993年、森で仕事を始めてすぐログハウスを作りたいと思った。どうせ作るなら一から十まで手作業で、独力でと思った。

早速、図書館で#ログや#丸太をキーワードに本を探して読んでみた。

6畳くらいの物置程度のサイズから二階建て5LDKのものまで色々ある。そのなかで「これくらいなら一人でも作れそうやなぁ」と思える手頃な感じがするものを探した。

丸太の積み方だけでも何種類かあることが分かる。大きくは次のa)とb)。

  a) ラウンドノッチ、サドルノッチ

  b) ピース&ピース、ポスト&ビーム

このうちb)は設計の自由度が高く、細くて短い材も使えるので無駄を極力抑えられるが、いわば日本の在来軸組工法なのでプロの手を借りないとマトモなものは建たないようだった。

a)はいかにも「これぞログハウス!」という外観。いや外観だけでなく丸太を丸いまま積むので、内側の壁も丸太が剥き出しになってて、建物が全体に丸太丸太している。構造上壁の幅が丸太一本の長さになる。例えば建坪が3間×5間なら、壁を作るためには3間(180cm×3=540cm)と5間(180cm×5=900cm)の丸太が壁の高さ分必要になる。

しかも、a)の工法だと細い丸太は使い辛い。丸太の直径は15cm以上必要になる。これより細いと丸太の乾燥が進んだとき反ったり割れたりすることも分かってきた(後にこの現象に度々悩まされることになる)。太い(重い)丸太を長いまま扱うため、技術よりもむしろ体力筋力が求められる。

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いずれにしても不安だったのは「素人でも安全な建物が建てられるのか?」という点だった。森を訪ねてくる人に安心して過ごしてもらうために、地震や台風でもびくともしない建造物にすることは必須だったから。

(つづく)






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