高齢者施設で新型コロナのクラスターが起こると

これは新型コロナに限ったことではないのでしょうが、高齢者施設で何か感染症のクラスターが発生すると大騒ぎになります。職員はもちろん、入所者やそのご家族もいつもの風景とは違う場面に出くわします。おろおろしそうになるのです。しかし、職員にはプロの気概があります。胸に競り上がる不安感はどうにかして押さえつけます。

高齢者施設で働く妻がコロナ陽性になりました。妻はコロナ陽性になったため職場には出られず、自宅療養をしていました。のどが痛んだのですが、それ以外にはそれらしい症状はありません。10日間も家に閉じこもるので、ここは普段できなかったことをしようと考えて、わたしの本棚を探して本を持っていきました。仕事があると疲れて読書する気にはなれないのですが、コロナのおかげで5~6冊も読めたということです――原田マハさんの『デトロイト美術館の奇跡』と中島京子さんの『やさしい猫』が良かったと言っています。

妻の家族であるわたしや同居している息子は「濃厚接触者」にあたります。特にわたしは、妻といっしょにいる時間が長いので、陽性になっている可能性があります。息子と二人してPCR検査を受けにいきました。二人とも陰性でした。めでたい!

数日前に妻は隔離期間が終わって職場に復帰しました。復帰の前日は、職場がどうなっているか、同僚をはじめ入所者は妻のコロナ感染を素直に受け止めてくれるかと心配で、あまり眠れなかったと言います。しかし、出てみるとそれは杞憂に終わりました。同僚は「いつもの生活が戻った」と言って喜んでくれたそうです。

今回のオミクロン株では、健康な人が重体になることはあまりなく、後遺症もあまり見られないということです。重くなる人は何か基礎疾患のある人か高齢者が多いそうです。しかし、妻はもうすぐ高齢者の仲間入り、わたしはすでに高齢者なのですから、我が家ではオミクロン株であっても危険なのだと認識しておかなければなりません。

それとともに、コロナ禍での高齢者施設では、当たり前の生活は送れません。基礎疾患があったり、高齢であったりするので感染リスクが高く、ご家族であっても直に会うのはためらわれます。コロナで亡くなられたのではなくとも、コロナ禍のあいだに親族を見送られた方は、悔しい思いをしているに違いありません。


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