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1年前の日記に綴ってあった文章
なんか良かったので供養。
茹だるような暑さの中、俺はチャリを全力で漕いでいた。
「クッソ…なんで負けんだよ…」
先輩とのジャンケンに負けてしまったがばかりに俺はこの猛暑の中ガリガリ君を買いに行かされている。
たかが片道10分のファミマへの道のりは果てしなく長く感じられた。
汗だくになりながら木陰で涼んでいる先輩の下へ辿り着く。
「もー遅いよー!」
「うっせぇ、これでもずっと立ち漕ぎして行ったんだよ」
「ほんとだ、びっちょびょじゃん笑」
汗の滴る俺を見て彼女が笑う。
「はい、ご所望のガリガリ君です。大変長らくお待たせしましたぁ」
俺は嫌味っぽく言う。
「何その言い方、腹立つわぁ。しかも三分の一ぐらい溶けちゃってるじゃん最悪ー!」
「でもありがほへ」
溶けかけの氷菓にかじりつきながら彼女が言う。
その言葉だけで、俺の地獄みたいな20分感が報われた気がした。
「ど、どーいたしまして」
彼女のまぶしい笑顔から目を背けながらぎこちなく俺は言った。
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