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【ネタバレあり】シン・エヴァンゲリオン解説③ 今だからわかるカヲルが第13使徒の理由

ここからは激しく【ネタバレ】ありますので、ネタバレOKの方のみスクロールしてください。

本記事は【シン・エヴァンゲリオン劇場版】を見た今だからわかる「ヱヴァンゲリヲン新劇場版・Q」で最後にカヲルが第13使徒に堕とされた理由を語ります。

この記事でわかること

●セカンドインパクトで海が赤くなった理由
●テレビ版の17使徒が、新劇場版で12使徒になった理由
●「おかしい、2本の槍の形が揃っている」の意味
●何故、カヲルは第13の使徒になったか。

私の考察の前提条件として、旧作の設定は可能な限り、新劇場版には引き継いでいない前提で考察しております。

1・第1使徒であり、第13使徒であるカヲル

Qで難解なシーンである【13番目の使徒に堕とされたカヲル】について、長年理解できなかったが、【シン・エヴァンゲリオン劇場版】を見ることでやっと理解することができた。

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・カヲルの目的
「序」と「破」の中では「今度こそ、君を幸せにしてみせるよ」などとループを匂わせていた渚カヲル。

月面の月にたくさんの棺桶が並び、この閉じた棺桶にはまだ目覚めていないカヲルが入っていて、ループするたび1つ空いているのでは?と早期から予想されていた。

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で、「シン・」をご覧になった方はご存知の通り、この予想はその通りだったのだ。
目的も予想通り、「不幸な碇シンジを救うことで、自分も救われたいから」だった。

「何故、ループできるのか?」について考察すると長くなるため、ここでは「生命の書」というアイテムに名前を書いた人物はループするということと、カヲルだけは記憶を持ってループできるということだけは確定なので、そうとして捉えて話を進める。

以降、【新劇場・序】~【シン・エヴァンゲリオン】まで登場した渚カヲルを「カヲル」、概念的に棺に入っている渚カヲルも含めたすべての第1使徒渚カヲルを以下「カヲルズ」という概念で説明しよう。

①第1使徒=カヲルズという複数を指す
②第1使徒である以上、第2使徒リリスよりは先に生まれた
③渚カヲルは「序」で目覚めた第1使徒カヲルズのうちの1つ

上記を念頭に以下を読み進めてほしい

2・加持が教えてくれる「海」と「使徒」

渚カヲルの間違いは碇シンジは優しいけど、弱いと思っていたことだ。

渚カヲルは、碇シンジを幸せにするために、円環の運命の中で役割を演じ、幸せにする方法を模索していた。

「シン・」の中で、カヲルが形作る加持はこう言った。

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「第1の使徒であり、第13の使徒であると同時に、人間と使徒の狭間にたつあなたは【渚】という名前がふさわしい。」これが1つのキーワードになっている。

聖書では、最初の人間は土を神に似せて作ったと言われており、人間とは【大地】に暮らす存在である。
しかし、使徒でありながら人間の形をしているカヲルズは「大地」ではなく、「大地」と「海」の間に立つのが存在である。
では、「海」はだれのものか?と考えると、「カヲルズ」がより使徒に寄った存在、使徒そのものを指している。

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全ての使徒がどこから上陸したのかは描かれていないが、その襲来がはっきりと描かれている使徒はいつも海からやってきている。

第3使途はどこで捕獲されたか不明。第8使徒は直接宇宙にいたし、第11使徒、第12使徒はどう登場したかなぞだが、概ね海の方から第3新東京市を攻めてきている。
最初の敵、第3使徒は赤い海から水しぶきを上げて襲来する。

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新劇場版の世界では、本来、生物の存在できない海から、唯一存在できる存在が使徒だということは言えそうだ。


我々の暮らしている世界と異なり、赤い海は生物の暮らせない世界で、その世界に生きているのが使徒。その赤い海の生物が大地を支配しようとして戦っているのである。


3・シンジのためのセカンドインパクトと「幸せ」

セカンドインパクトで海が赤くなった理由は何だろうか?その答えの発端は以下のカヲルの会話の中にあった。

シンジがカヲルの13号機を消そうと思うと告げると、カヲルは驚いて謝った。
「エヴァを捨てるんだね。ごめんね、僕は君の幸せを勘違いしていた」

これはカヲルが「エヴァを捨てるなどあり得ない」と思っていたことを表しテイル。つまり、「シンジにとって、エヴァに乗るのが幸せ」と勘違いしていたことを謝ったのだ。

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使徒を倒し、世界を救うために戦い、他人に認められることでしか碇シンジは幸せになれない、というのが渚カヲルの考えあった。だからこそ「ぼくは君の幸せを間違えていた」のである。
そして、「ごめんね」と誤ったということは、この勘違いが原因で、【何かをやらかしている】ということになる。

先に言ってしまうと、この世界に存在しない「使徒」を創造したのではないと仮定すると様々な辻褄が合う。

4・こうしてセカンドインパクトは起きた

理由については別の機会に考察するが、セカンドインパクトでこちらの世界にやってきた渚カヲルはこの世界に「使徒」がいないことに気づいた。
碇シンジは、使徒のいない世界では「存在していいい理由」を失ってしまい、幸せになれない。

旧劇では「エヴァに乗れる」ということだけが唯一の存在理由であった。その存在理由がない世界の碇シンジが「幸せ」になれるはずがない。そう思った渚カヲルは槍を消費して新たな生命体「使徒」を作ったというのが、4体の光の巨人によるセカンドインパクトの真相である。

新劇場版の人類補完計画が新たな生命体「インフィニティ」を作るために、大地をコア化している。このコア化は「新たな生命体」のために「古の生命体」を生贄にする作用がある。

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新たな生命体を作るためには古の生命は滅びるー碇シンジを含む人間をいけにえにするわけにはいかないので、それ以外の海の生物をいけにえとした。その副産物として「コア化した赤い海」が生まれたし、「使徒は海からやってくる」ことになった。

つまり、「赤い海」とは新たな生命体・使徒を作るために、生贄として海の生命体をLCLに還すために渚カヲルがつくったものであると言える。


5・新劇場版の人間は「第14の使徒ではない」理由

旧劇場版で17体の使徒を全て倒したあと、葛城ミサトは「人間はもう1つの使徒の可能性ー人間は18番目の使徒」と説明するが、今回は第13の使徒を倒しても「人間は第14の使徒だ」とはならないのは、使徒と人間が全く異なる存在意義をもっているからである。

新世紀エヴァンゲリオンシリーズは「ロンギヌスの槍」を初めてとして、聖書がモチーフとなる設定が多く存在する。
テレビ版の使徒のモチーフは「天使」であり、英語訳では「Angle」が充てられている。ゆえに17体の使徒が存在した。

しかし、新劇場版の使徒は12使徒になっている。これは【イエスに仕えた12使徒】をモチーフにしており、テレビ版と異なっている。

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前述の通り、今回の新劇場版の使徒は「碇シンジの幸せをかなえるために生まれた12体」であり、碇シンジの幸せの存在のために存在している。しかし、その「幸せ」はカヲルの言う通り「間違っていた」のである。
この使徒たちは「シンジがエヴァに乗ることで、幸せになれる」という誤った前提条件で生まれた存在なのだ。

人間は碇シンジのために生まれた存在ではないため、今回の新劇場版シリーズでは人間は「第14の使徒ではない」のである。


7:第12使徒はユダ、第13使徒はマティア


実は聖書の12使徒は13人いる。

かの有名な「ユダ」が裏切ったあと、その代わりに12使徒になったのが、13人目の使徒「マティア」である。

第13号機がセントラルドグマに投下した時、カヲルは「おかしい、2本とも槍の形状が揃っている」といってた。

「シン・」ではロンギヌスもカシウスも同じ槍で、持つ者の意思で形状が変わることが明かされた。そして、インパクトを起こすにはどちらかの状態になっている必要がある。

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そして、カヲルが気にしたのは「2本とも、ロンギヌスでもカシウスでもない」という点だったということになる。

何故かと言うと、ロンギヌス若しくはカシウスは相手に刺すと「停止」を引き起こすが、儀式で自分に刺す際は、再び形状変化を戻す必要がある。

この状態だ。

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つまり、渚カヲルはmark6が儀式を進めていることに驚いているのである。

恐らく、渚カヲルの認識の中では、カシウスかロンギヌスの槍が、刺さりインパクトが中止したという風に認識していた。
ニアサードインパクトで覚醒した初号機を停止させたように、そこにはサードインパクトを停止させたロンギヌスかカシウスの槍が刺さっていなくてはいけなかった。

もう、お分かりだろうか?

渚カヲルと碇シンジが第13号機に乗ってセントラルドグマに降り立つその日まで、Mark.6が自立型に改造されたのではなく、第12使徒が裏切って「サードインパクトが止まったふり」をしていたのである。

何故そのようなだまし討ち作戦が必要だったのか?それはQで描かれた通り、渚カヲルが碇シンジと槍でやり直しに来るタイミングで裏切り、邪魔をするためである。

カヲルが2本の槍を使い、再びシンジの幸せを探す旅を一からやり直そうとしていたのを邪魔して、碇ゲンドウの力になるためだと考えられる。これは「ネブカドネザルの鍵」が関係しているのだろう。

最後に「使徒が裏切った」ことで使徒が1つ足りなくなった。倒すべき使徒ではない【第1使徒アダムス=渚カヲル】が【倒すべき第13の使徒】になってしまったのである。
いわば、第12使徒が自ら第13号機に取り込まれることで、第13号機が自律的に生贄になり、フォースインパクトが始まってしまった。

だから、カヲルは「第13の使徒になってしまったからね、僕がトリガーだ」というのであるある。

使徒


補足:実際の聖書では?

先述の通り、今回の使徒は「アダムと12人の使徒」になぞられている。

第12の使徒、イスカリオテのユダは、イエスを裏切ってしまう。そして、最終的に自殺で死んでします。

そして、イスカリオテのユダの代わりに使徒になったマティアは首を切り飛ばされて死んでしまった。カヲルも最終的には首を飛ばされて死んでしまう。

ここまで聞くと、ご納得いただけるのではないだろうか?
セカンドインパクトが何故、使徒を作る契機になったかは別の回に紹介したい。

まとめ

【1】セカンドインパクトとは?
第1使徒渚カヲル(複数)と、6本の槍、碇ユイを取り出す儀式であると同時に、第3使徒~第12使徒を生み出す儀式であった。

【2】新劇場版はシンジの幸せのために、戦っていた。

【3】第12使徒はサードインパクトが終わったふりをし、渚カヲルのインパクトを邪魔した「裏切り者のユダ」の立ち位置。

【4】使徒は12体必要であるため、複数いるアダムスのうちの1体が新たな使徒となった


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