【#ガーデン・ドール】その想いは指先をすり抜けて
【注意】
交流創作企画 #ガーデン・ドール において
最重要ストーリーとなる内容を含みますので、自己判断でお読みください。
こちら
の続きになりますので、先に見てからお読みください。
何てことのない、ドールになった感情の欠けたもののお話。
俺は、アイツが好きだったんだ。
アイツの手が、好きだった。
返り血で濡れて赤く、紅く光るその両手は温かくて。
俺にあるはずのない記憶の中で、アイツは微笑んで。
共に破壊のまま殺戮を続けて。
……あぁ、だからか。
とてつもなく、惹かれてしまう紅と金の瞳。
色素の薄い肌。
薄い薄い、空を融かしたような髪。
朱が映える、柔らかい笑顔。
それに目を奪われるのは。
偶然でも、必然でも言い表せない。
ただ、運命と言っても過言では、ないのだろう。
真っ暗な闇の中、俺は手を伸ばす。
伸ばして、伸ばして、肩が外れそうになりながらももがき、爪先から関節から、全てを使ってその光に触れようとする。
そんな夢をずっと見ていた気がする。
光に触れれば、アイツは消えてしまうというのに。
それでも。
美しい心に、触れたいと思ってしまった。
どうか。
どうかこのまま。
俺の気持ちは、知らないままで。
どうか。
俺を解放してくれた時と同じように。
アイツが、俺の大切なものであることに変わりはないから。
だから、また。
「からころと、俺の前で笑ってほしいなんて」
それこそ、罪だ。
【主催/企画運営】
トロメニカ・ブルブロさん
SpecialThanks 大切な人
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?