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現役おさんぽ隊長です

昔から歩くことが好きだ。
それはひとえに両親のおかげだろう。

小さい頃よくお散歩に連れていってくれた。
私、母、父の順。
私がおさんぽ隊長として、行きたい道をただただ進んでいく。
距離でいうと、一駅分だけだったけど、あの頃はとても遠い場所まで旅にきた気分になった。

用水路はアマゾン川。
野良猫はジャングルに潜むトラ。
小道があれば小人の通る道。
私の家は子どもの想像力を伸ばすことに注力していた。
そのおかげでたくさん冒険ができた。

行きたいところへ行ける喜びと、知らない道を見つけたときのワクワク。
あのときの記憶が今の私を豊かにしてくれている。

   ○○○

小学5年生ごろで親子3人のさんぽ隊は解散されたけど、大人になるまでたまに母と散歩に出かけていた。 

普段反抗期で話ができなくても、散歩中は不思議と素直に言葉がでてきた。

あのとき通った田んぼのあぜ道の、
青い稲の美しさを。
エネルギーを感じられる青臭い香りを。
稲穂の間を通ってくる気持ちのいい風を。

母も同じように覚えてくれていると嬉しい。

大学生になり、母と出かけた日帰り旅行にて。

      ○○○

散歩のとき、ついつい見ちゃうものって皆さんはあるだろうか。
例えばマンホールだったり、道路に生えている雑草だったり、赤色のものをついつい見てしまうということもあるだろう。

私がつい見てしまうのは、自動販売機、かつ、そこにカルピスがあるかどうか。

理由は、夫がカルピス好きだから。ただそれだけ。

夏の夜、喉が渇いた夫がジュースを買いに行こうと誘ってくれることが、たまにあった。
普通の自販機は、カルピスは140円する。
だからもっと安いカルピスはないのかと探し、夜の街を探検したのがことの発端だ。

その探検は10分ほどで終わった。
なんと、100円で見つかったのだ。
たまにある50円~とポップが貼られた自販機に、それはあった。
夫は嬉しそうに喉を鳴らした。

それからどこを歩くにしても、ついついカルピスを探してしまう。
買うことはないのだけど、あると教えてあげようと嬉しくなる。
缶のカルピスであれば、大缶でも100円で売られていることが多い。
ペットボトルは、110円で見つけられたらラッキーだ。

   ○○○

現役おさんぽ隊長の私は今日も歩く。
隊員は変わり、隣には夫がいる。
近くの神社まで梅を見に行ったり、図書館に行ったり、美味しいランチを探したり。

この人となら、ずっと一緒にいても楽しいだろうなと思えたのは散歩中。
ずっと隣で歩いていたいと思えたのも散歩中。

白髪が生えてきても、二人でずっと、ずっと。
道はまだまだ続いていく。


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