風光明媚な世界に

流れて行く 星の跡を指で辿る
光の射す頃に 聴こえた
空高く昇る 風光明媚な 夢のように

「ここにいるよ」

ねぇ 艶やかな素肌に 伝う 緩やかな心地
この胸に触れて見て 聴こえる?
溢れ出す感情 泣いてみせて
いつまでも 抱き締めていてあげるから

もう 何も怖くはないよ
風に舞う花びら 空高く昇り 沁み渡る
きらきらと風光が散り 夢のような 心地に包まれて
やがて 眠りに就く瞬間が 訪れるから

「ここにいるよ」

この手を握り締めて ねぇ
優しさの香る その声に懐かれて 嬉しかった
その涙を見せて ありのままの姿を
もう何も 失うものなど ないのだから

眠りに就くまで
抱き締めていてあげる
だから
この手を握っていて

緩やかに沈む刻
その最中に 見つけた
咲き誇る花々の 白い溜息を

そして今 この瞬間
風光明媚なる世界が 散って行く
きらきらと流れて
緩やかなる刻の彼方へと

「今 逢いに行くから」

穏やかに眠る
このまま夢の中へと 融けてしまいたい

そっと 触れた手
冷たい感触
もう思い遺すものなど 何もないから

「ううん もう大丈夫」

だから

花々の溜息を聴きながら
白く沈殿して行く 温もりに触れた
その瞬間
咲き満ちる感情は 今に 張り裂ける

ばらばらになった心
刹那の時間を駆け巡る
それはまるで この命を捧げて
咲き誇った 花々のように

その輝きで いつまでも
抱き締めてあげるから ねぇ

その涙の訳を見せて
もう何も 怖れる事はないから

花びらが舞い 空高く散って行く
この景色よ 永遠に
ずっと 傍にいてあげるから
その顔を見せて欲しい

それは
白く華やぐ 花々の影
風がそよぎ 儚き命の香る声

「もう 何も怖がらなくても良いから」

ねぇ

風光明媚な その輝きは
今に 満開の瞬間を迎える

ねぇ

「ずっと 傍に居てあげるから」

うん
こっちにおいで

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