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顧客価値から生まれたコンパウンドプロダクト開発

グッズでは、BtoBに特化したECマーケットプレイスと受発注システムを提供しています。売り手であるメーカーと、買い手である小売店やサービス業者をつなぎ、効率的な取引を可能にします。また、BtoBならではの細かなビジネス要件に対応した受発注システムを提供し、事業者間の取引をシームレスに行うことができるサービスを提供しています。

グッズの事業についての詳細は、事業紹介の記事をご覧ください。

グッズでは卸売業界向けのマーケットプレイスの提供から始まりましたが、事業を展開していくうちに、マーケットプレイスから始まる取引や継続した取引を円滑に行うことの重要性が高いことに気づきました。そこで、グッズではプロダクトを複層的に提供していく方針を固め、それに基づいてプロダクト開発を進めています。
この記事ではプロダクト開発体制について具体的に説明していきます。

顧客価値から生まれたコンパウンドプロダクト開発

プロダクトでの提供価値

グッズでは、プロダクト開発において3つの顧客価値をコアとして定義しています。それは、「新規取引先発見」「継続受発注効率化」「与信・請求業務効率化」です。これらの価値を提供するために、グッズではマーケットプレイスと受発注プロダクトという2つの主要なプロダクトを開発しています。

マーケットプレイスは、「新規取引先発見」の価値を提供します。買い手と売り手を結びつけ、新しい取引機会を創出することで、両者のビジネス拡大を支援します。一方、受発注プロダクトは「継続受発注効率化」と「与信・請求業務効率化」の価値を提供します。BtoBではBtoCとは比べ物にならないほど多種多様な取引形態と受発注フローが存在しますが、その一つ一つを細かくモデル化・デジタル化していくことで、業務全体の自動化と効率化を実現し、与信管理や請求業務の負担を軽減します。

マーケットプレイスと受発注プロダクトの両方で初めて解決される課題

これらのプロダクトは、それぞれ単体でも強力な顧客価値を持っていますが、グッズではさらに一歩進んだ取り組みとしてコンパウンドプロダクト戦略を取っています。マーケットプレイスと受発注プロダクトを連携させ、相互に送客することで、それぞれのプロダクトの価値を相乗的に高めるという戦略です。マーケットプレイスで新規取引先を発見した後、スムーズに受発注プロダクトに移行できるようにすることで、顧客体験の連続性を確保しています。
卸売業界には、これまで述べてきたような非効率性が存在しています。旧来の卸売りサイトでは、これらの課題に対して個別のサービスを提供するにとどまり、顧客体験が分断されてしまっていました。グッズは、これらの課題を一度に解決するコンパウンドプロダクトを提供することで、卸売業界の変革を目指しています。

顧客価値探求のための活動

グッズでは、顧客価値を深く理解するために様々な活動を行っています。その中でも特徴的な取り組みとして、NOZO HOTELでのバイヤー業務体験、ユーザーインタビュープロセス、CSフィードバック会について紹介します。

富良野にあるNOZO HOTELは、グッズのバイヤーであり、グッズから仕入れた商品のみでホテル内のショップを運営しています。グッズのチームはバイヤー業務体験として、仕入れ前後の業務を実際に体験し、仕入れ業務の意思決定、納品後の検品やPOSシステムとの連携、消費者の方に商品を手に取ってもらうための店舗の棚の作り方など、実際の業務を深く理解することができました。また、各業務の「なぜ」を追求することで、バイヤーの課題や要望を肌で感じることができました。

ユーザーインタビューも定期的に行っています。既存のユーザーに対して、グッズを継続して使用してもらっている理由を聞き、サービスの強みを把握しています。また、新機能のアイデアについてもユーザーの意見を聞き、具体的な要件を検討しています。このようなユーザーインタビューを通して、サービス改善のための貴重な知見を得ています。

さらに、サービスに寄せられるお問い合わせも、改善アイデアの宝庫として活用しています。Zendeskで集約されたお問い合わせ内容を、CSチームが定期的に分析・要約し、全社に共有しています。そこから得られる細かな使い勝手の改善点は、大きな機能開発ではないものの、ユーザー体験を向上させる上で重要な役割を果たしています。

これらの活動から得られた知見は、プロダクト開発に直接反映されています。バイヤー業務体験やユーザーインタビューから得られた課題や要望は、新機能の開発や既存機能の改善に活かされています。また、CSフィードバック会で共有された使い勝手の改善点は、スピーディーに対応することで、ユーザー満足度の向上につなげています。

プロダクト開発サイクル

OKRとプロダクトロードマップ

グッズでは、プロダクト開発を効果的に進めるために、複数のサイクルを組み合わせています。大きな枠組みとして、四半期単位でOKRのサイクルを設定し、全社の事業戦略に沿った注力領域を定めます。各機能はOKRにアラインして施策や目標を決定し、事業状況や顧客フィードバック、データ分析結果などを踏まえて、次の四半期の方向性や具体的な施策を決めていきます。OKRも運用を重視し、毎月の進捗レビューと次に向けての施策の微調整を全社で行うサイクルになっています。

OKRで決定された項目は、短期のプロダクトロードマップとしてチケット化され、1週間単位のサイクルで進行管理されます。チケットには、顧客への提供価値から始まる要件を記載するフォーマットを採用しており、提供価値から逆算した仕様やスケジュールが明確になるようにしています。このアプローチにより、チケットを読めば、誰にどのような価値を提供することを目的としているのか、提供価値から逆算してどのように要件が決まっていったのかが一目瞭然となります。

1週間単位のスプリント

現在、グッズではフルタイムのPdMが不在の状況下で、エンジニアやデザイナーがPdMの役割を兼任しています。これには、要件の背景を理解し、課題解決のための最短のソリューションを採用しやすいという利点がある一方で、要件すり合わせのコミュニケーションに時間がかかり、タスクの実行に集中できないという課題もあります。1週間サイクルでのタスク管理においては、PdM観点での顧客提供価値やデリバリースケジュールの見込みと、エンジニア・デザイナー観点での足元のタスク管理の時間を明確に分けるなど、チームの状況に応じた最適なプロジェクト進行体制の構築を模索しています。

リリースサイクルとプロダクトレビュー会

OKRおよびプロダクトロードマップで決められたスケジュールが目安で、少なくとも1〜2週間に1度は大きな機能価値提供のアップデートが予定されています。ただし、実際の本番へのプロダクトリリースとしてはもう少し細かい単位で行っています。現在の開発サイクルとしては固定のリリース日は設けておらず、ある程度まとまった顧客価値提供単位を実装し次第リリースしています。

実績としては、開発チームの効率性を表す目安として用いられる deploy/developer/day は 2/13-3/13 までの30日間(21営業日)で 0.22 でした。 0.1 を超えると良いとされていますが、それを大きく超える数値が出ていることがわかります。

また、こうしたプロダクトチームの成果と、それに対する顧客フィードバックを全社に共有し合うプロダクトレビュー会を定期的に行っています。プロダクトレビュー会では直近リリースしたプロダクトの機能を、主にその機能を担当したエンジニアやデザイナーから Why/Who, What/How, Goals/KPIs のフォーマットに沿って全社に共有します。

今後のプロダクト組織体制

グッズのコンパウンドプロダクト

グッズの提供プロダクトは、マーケットプレイスと受発注プロダクトに大別され、これらを支える基盤サービスとしてCRMとデータ・ML/AIサービスのコンポーネントが存在します。今後1〜2年で、プロダクトの複雑性が増すことを見据え、プロダクト組織は以下のように4つの領域に分かれることを想定しています。

マーケットプレイス:セラーにとっての新規取引先・バイヤーにとっての新規商品の発見と、初回の受発注に重点を置きます。セラーに対しては商品掲載の簡易化と初回受注を促進するマッチングアルゴリズム、バイヤーに対しては登録直後からのリアルタイムな商品レコメンデーションや商品比較による仕入れ意思決定支援のUXを提供します。

受発注プロダクト:継続的な受発注を円滑にするためのシステムで、B2Bならではの多様な取引形態へのワンストップでの対応とセラーの債権回収が主な価値提供となります。また、POS・経理システム等との外部システム連携により、受発注後の業務効率化も図ります。対応可能な取引形態や業務範囲のカバレッジ拡大、複雑な取引のわかりやすいUI提供がプロダクトの競争優位性を高めます。

CRMサービス:セラー・バイヤー双方に対して、4R(Right Target, Right Timing, Right Information, Right Channel)を前提とした顧客コミュニケーションを実現するサービスです。バイヤーへのパーソナライズされた商品紹介・販促施策やリピート促進メッセージの発信、セラーへの予測モデルに基づくマーケットプレイス運用最適化コンテンツの配信やセラー原資でのバイヤー向け販促サービスの提供等が含まれます。

データ基盤・ML/AIサービス:全プロダクトをまたぐデータの相互活用と各種目的に沿った予測モデルを提供する共通基盤です。生成AIを用いた新しいマーケットプレイス体験、バイヤーとセラーのマッチングやレコメンデーションアルゴリズム、クーポン・販促最適化アルゴリズムや広告プロダクトの提供、返品率・未払率予測・与信モデリング等が含まれます。

このうちマーケットプレイスと受発注プロダクトは、それぞれ単体でも強力な顧客価値を提供しつつ、相互への送客により提供価値をさらに強化する関係にあります。CRMとデータ基盤は、マーケットプレイスと受発注プロダクトに対してメッセージングやデータによる最適化を提供する共通サービスとなり、最適な顧客体験や顧客コミュニケーションを実現します。

今後の組織体制としては、各プロダクトにPdMとエンジニアを配置し、担当プロダクトの強化と全体としての連携性を追求する構造を目指します。

採用候補者に向けて

フルタイムPM不在体制と顧客志向のフルサイクル開発

グッズのプロダクトチームは、業務委託も含めて10名を超える体制ですが、現在フルタイムのPdMが不在という特徴があります。代わりに、エンジニアやデザイナーの各メンバーがPdMの役割を担っています。これは、企画と実行を分けず、一人ひとりがプロダクトに対するオーナーシップを持ち、顧客価値から考えた機能のデリバリーから振り返り・改善を行う体制を目指しているためです。

この体制には良い面もあれば、課題もあります。コミュニケーションコストや言行不一致が起きにくいという利点がある一方で、機能実装を担当するエンジニアやデザイナーにとっては、各所とのコミュニケーションに時間がかかり、作業時間が減ってしまう問題もあります。多くのコミュニケーションを要する機能や価値提供に対しては、別途PdMを立てるなど、バランスの取れた体制を模索しています。

この体制の良い面は、デザイナーもエンジニアも全員が顧客価値単位で定義されたチケットを全領域にわたってデザイン・実装を担当し、素早いサイクルでリリースと改善を繰り返せることです。顧客に向き合った価値提供や機能開発が可能となっています。

生成AI時代におけるAIネイティブな顧客価値探求

また、グッズは生成AI時代のスタートアップとして、この時代背景を生かしたテクノロジー戦略を取っています。これは、グッズがBtoBのECマーケットプレイスであり、既存のテクノロジーを前提とせず生成AI時代に生まれたスタートアップであることから実現できているものです。

募集中のポジション

現在、グッズでは以下のポジションを募集しています。

  • PdM:プロダクトマネジメントを担当し、顧客価値の最大化とプロダクトの改善を推進します。

  • フルスタックエンジニア:顧客提供価値に基づいてフロントエンドからインフラまで全領域の実装を担当し、高速でリリースと仮説検証を繰り返します。

  • データ・ML/AIエンジニア:データ基盤の構築とML/AIサービスの事業実装を担当します。

  • プロダクトデザイナー:複雑な要件をUIに落とし込み、ユーザー体験の向上を図ります。


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