【資格取得】HCD-Netスペシャリストへの挑戦(HCDコンピタンス知識編「ユーザー調査・概論」)

2019年7月18日にIMJさんのセミナールームで開催された、HCD-Netの基礎知識の講座である HCDコンピタンス知識編「ユーザー調査・概論」を受講したので、アウトプットします。

開催概要は以下の通りです。

本講座は、HCD専門家コンピタンス「ユーザー調査実施能力」に関するものです。ユーザーの本質的欲求や利用状況を把握するためには様々な調査手法・分析手法があります。
しかし、急いでいる・ルーチン化しているなどで「覚えた手法ありき」になって基本が置き去りになっていないでしょうか?
・調査の目的を見失っている
・手法が目的に合っていない
・本来調べるべき人たちでない人が調査対象になっている
・調べるにあたって、人間の身体的・心理的特徴が十分考慮されていない
このような状態では、的確な結果を出すことはできません。ユーザー調査の実施に当たっては、目的に合わせた調査設計、実査、分析を行うことが重要です。
本講座では、プロジェクトに有益な結果をもたらすユーザー調査の計画・実施のための基礎知識を整理・把握していただきます。

講師は
太田 文明(おおた ぶんめい)氏
株式会社アイ・エム・ジェイ Service Design lab. デザインマネージャー
常葉大学 非常勤講師
HCD-Net認定 人間中心設計専門家

吉田 実央(よしだ みお)氏
株式会社アイ・エム・ジェイ
HCD-Net認定 人間中心設計スペシャリスト

でした。経験豊富な方から、現場に近い話が聞けて大変有意義でした。

以下、学んだことの概略です。

HCD、デザイン思考、サービスデザインが重要な理由

出典;「デザイン経営」宣言(経済産業省・特許庁2018年)
デザイナーは、技術と人間中心的視点をうまく組み合わせることでイノベーションを起こすのだ」
https://www.meti.go.jp/press/2018/05/20180523002/20180523002-1.pdf
とある。

デザイン思考      =マインドセット・思考法
サービスデザインUXD =メソドロジー手技法の体系
人間中心デザインHCD  =プロセス・進め方の企画と体系

これらの三位一体がデザイン経営には必要である。

ユーザー調査の目的

デザイン思考の流れのうちの
empathzize define 共感 課題定義 
の部分を司るのが、
HCD-Netのコンピタンス定義に定義されているうちのユーザー調査のコンピタンスとなる。

ユーザー調査は、
実際のユーザーにあい、ありのままのデータを手に入れる
ユーザーを深く理解し、ユーザー自身も気づかないような解決策を定義する
ことを目的とする。

大事なこと
○Empathy 他者の目で見て、他者の耳で聞いて、他者の心で感じる
 その人だったら何を思ってどうするか?
 その人の価値観や行動原則を尊重して寄り添い追体験する力
✕Sympathy 自分の目で見て 自分の耳で聞いて、自分の心で感じる
 自分がその人の立場だったらどうするか?
 自分の価値観や行動原則に当てはめて解釈する力

このEmpathy(他者の目線)を獲得することがユーザー調査の目的
ゆえに ResearchなくしてEmpathyなし

※本筋とは関係ないが、印象深かった発言
サービスデザインの悲劇はHCDを理解していないプロジェクトマネージャーがアサインされることで始まる

HCDやデザイン思考は非線形、出来高の管理し辛い進み方
一般的なプロジェクト・マネジメントとは異なるので、
そもそも宗教が違う

ゆえに、ぶつかることを恐れない 
できる範囲でプロセスを取り入れながら、現物で説得・教育・啓蒙することがだいじである。

デザイン・シンキングではなく、デザインドゥーイング

ユーザー調査とは


ユーザー調査4つのコンピタンスから成り立つ。
A1 ユーザー調査計画
A2 ユーザー調査実施
A3 定性定量データ分析
A4 現状のモデル化(ユーザーモデリング)

製品・システム・サービスの開発段階だけでなく、実際のユーザーの利用時の体験に関わる調査・評価も対象
・実施(実査)だけを箚すものではない
・開発の最初に行うだけではない

デザイン・リサーチとは
・実査(データ収集)
・分析(データ分析)
の行動である。

調査の前に仮説を置くパターンでは、
Empathyベースの調査(ソーシャルリスニング)を初期仮説でおく
Sympathyベース(私達はこう考えました)はだめ

人間中心的アプローチによるユーザー調査
・お客様の行動は複雑怪奇(時間軸・質)
・普通にインタビューするとバラバラなことを言う
 →てんこ盛りにすると100徳ナイフになる
 誰からも好かれようとすると、誰からも好かれない

欲求は複雑になり、暗黙的、非言語的になる。
暗黙的欲求(インサイト)ってどこに?→それを測定し、分析、モデル化すること

ユーザーの声を重視するというのは「単なるユーザー任せ」
デザイナーがやるべきはユーザーから提案してもらうことではなく、ユーザーに提案すること
V=f(x) 素人分析関数
V=ユーザーの声 
このXを調査する
声の裏に潜む体験を明らかにすることである。

A1 ユーザー調査計画

プロジェクトのゴール・スコープに応じたユーザー調査を実施するべきかを検討・把握し、それを実施するためのハイレベル計画を立案すること。
「何を」「なんのために」「いつ(どのタイミングで)」


プロジェクトの課題って?
 ・ユーザー
 ・クライアント
 ・関係者
の課題がある。
文化的は背景知識だけでなく、プロジェクト全体を俯瞰した調査計画を作成す能力が必要。
※A1のコンピタンスは最も難しい。

Human-centred Design Processes for Interactive Systems(JIS Z 8530:2000 − インタラクティブシステムの人間中心設計プロセス)
リサーチを勝ち取る。リサーチをとらないと解決策の定時はできない

定量調査と定性調査の使い分け


定量調査
数的・量的、
数学・統計学 
多数サンプル
過去→現在
仮説検証・仮説証明=What&Howを知ること

定性調査
言語的・質的
社会学・心理学文化人類学
少数サンプル
現在→未来
仮説発見・仮説創出=whyを知ること

ユーザー調査のポイント

①調査と評価を混同しない
ユーザーの利用状況を理解把握することが目的。
表層的な課題の改善点を表出させることが目的でない
なので、「機能追加・改善要望」「優先度付きチェックリスト」などはアウト
②採用する手法を画一化しない(調査を自己目的化しない
なので、「とりあえずデプスインタビュー」「とりあえずカスタマージャーニー」はアウト

A2 ユーザー調査実施

A1で計画・立案したな内容に基づき、どのようにユーザー調査を実施するかを手技法レベルで検討し実施(実査)する能力
「誰に対して」「どのような方法で」「どうやって」

定量調査
 質問紙法 アンケート
 データマイニング

定性調査
 インタビュー法(ラポールの形成
 観察法 弟子入り法

ポイント


①常にフラットな視点なデータをとる
定量 アクセス解析;最近流行ってる感じのあのページが一番人気だろう とかはだめ
定性 インタビュー インスタばえ写真 ということばだけでわかった気になる とかはだめ
言葉の定義のずれを是正する
②分析手法を踏まえて調査手法を選択する。
親和図法で なぜの部分は分析で発想していくので、調査の段階で掘り下げない
③簡単な調査方法に惑わされない
不用意なグループインタビュー(多数派同調バイアス、リード者に引っ張られる)、チャット形式でインタビュー(ラポール形成状態を確認できない、見栄を張って答える)はNG

→ここの失敗は、後工程で全てに影響してしまう

※印象深かった発言
思い出術法によるメタ認知(俯瞰視) 『○○に関する一番うれしかった思い出のエピソードを詳しく』
投影法による俯瞰視 極端な状況に降ることによる形式知の排除 『○○ばかり買っているゆうウジンのAさんは○○が飼えなくなったときに△といいました。果たしてなんといったでしょう』

インタビュイーの選定
・属性の網羅性を担保することを重要視
・なるべくめちゃくちゃにする

フラットな視点と仮説検証の差
弟子は師匠に意見はしない 教えてもらう
答えにくい質問をする(相手もよくわかってなかったりする)→本音がでてくる

ラポール形成、反応、バイアスがかかっているかどうか、どうわかる?
機縁法、パイロット調査でも分析して結果をスクリーニングするまでする
うまくいくまで実施はピボットする。少数で何度もやる
調査自体の調査をする

インタビューする人の選定
・計画で頑張る
・師匠になっていただきやすいような選定方法(○○ハラにならないような方法で)バカじゃだめ、バカを演じられる、切れ者を演出しない、
インタビュイーがしゃべる時間の比率

対象がパイロット調査できない場合
・外部のネットワーキング活用
・学生は結構難しい、講師の立場を利用 機縁法

ビジネスという観点でベストではないベターの方法をとることをストーリーテリングして伝える

A3 定性定量データ分析

ユーザーの本質的欲求や利用状況などに関して収集された定性的・定量的データを目的に対して適切な手法で分析し、調査評価の目的に沿った、ユーザーの行動や状態の特徴を把握できる能力で、調査の目的とデータの性質に適した解析手法を用いて分析し、客観性再現性のある結果を抽出することが期待される

■定量的分析
記述統計
推測統計
多変量解析

■定性的分析
KJ法 親和図法
上位下位関係分析法
KA法
グラウンデッドセオリー法(GTA)
メンタルモデル・ダイアグラム
NW法
シネクティクス法
KH法

ポイント
単にレポートすることにとどめない 次のサイクルの入力成果として活用する
「アクセス解析データを出力しておわり」「模造紙と付箋が出てきて終わり」などはNG
客観性・再現性/一般性を常に意識する
手法の特質をよく理解して実施すべき
「KJ法です」→単なるカードソーティング
「上位下位関係分析で本質的欲求」→幸せになりたい価値しか出てこない

ビジネスイシューにコミットしない結果がでてきたらそこで分析をやめることもある

人間中心プロセス;次のプロセスに進まない限り、今のプロセスがただしく進んでいるかどうかわからない

ふつうのウォーターフォール;今のプロセスが正しいことをもとに次のプロセスに進む

A4 現状のモデル化

ユーザーの利用状況や本質的欲求等について、調査データや分析結果に基づいてモデル化する
暗号であったカードの束を日本語にすること→叙述化
適切に記述できることが求められる

手法
アーキタイプ、ペルソナ記述
ワークモデル分析
・シーケンスモデル:ユーザーの行動の流れ
・フローモデル:ユーザーのコミュニケーションの流れ
・アーティファクトモデル:プロセスにおいて生成される人工物とユーザーの関係
KJ方
KA方
カスタマージャーニーマップ(AS-IS)
ストーリーボード(AS-IS)
サービスコンセプトシート

ポイント
単にレポートすることに留めない(再び)
 ユーザー要求事項の明確化での入力成果として活用する
 「ペルソナ作ってそれからどうするの、、」
発見からのユーザーへの共感(SympathyではなくEmphathy)を意識する
 「発見的」「創造的」な調査結果を得られたかを客観視して、HCDの1ステップ目であることを意識する
 「知ってた速報の羅列、暗黙的じゃなかった」「一番えらい人がペルソナに憑依して取れない」 

完成したものを壊したくない人間の防衛本能があるので、
なるべく未完成の状態で出す 完成してないように見せる

最後に語っておられた大事なこと

サービスデザインとイノベーション
持続的イノベーション;実装モデルの価値を上乗せするアプローチ
破壊的イノベーション;メンタルモデルをリデザインするアプローチ

ビジネスにおける競合関係は実装モデルではなくメンタルモデルの類似で生じるが、それは不可視領域であることが多い。一見、競合とおもわれない領域の企業が突如台頭することで、巨大企業がシェアでなくビジネスそのものを予期せず奪われるのはこのため。
この不可視領域を言語化・叙述化するのがだいじなのはこのため。
http://www.coprosystem.co.jp/marketingblog/action7process.png

インタンジブルをタンジブルにすることはサービスデザイナーにとって最重要スキルだ
→ストーリーテリングの重要性

追記
同行した弊社の若者がいい記事を書いているので負けた感ある


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