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新型cannondale Scalpelについて語ろう vol.1

2020年5月21日
クロスカントリーレーサーの最高傑作「スカルペル」が新しくなりました。ワークスチームは軽量なリジッドバイク「F-Si」とリアサスペンションを備える「スカルペル」をコースによって使い分けるようなのですが…どうもスカルペルばかり使っているような気がします。クロスカントリーのコースがどんどん過激になっているからでしょうか。

ストーリー

スカルペルの登場は約20年前。シートチューブの上端にダンパーを備えハンガーからリアハブの間にはピボットが存在しないという衝撃的な形で登場しました。2013年には29インチ化。特徴的なピボットレスサスペンションは無くなりましたが、超軽量で滑らかでロスのない走りには磨きがかかり、他の追随を許さない特別なレースバイクでした。当時のメモによると29インチの完成車で10.8kg

2015年、リジッドバイクのF29に変わってFSiが登場。リアホイールのセンターを6mmズラしチェーラインを外に出すことにより、チェーンステーを15mm短縮。スカルペルも2017年のモデルチェンジでこのAiと呼ばれるアシメトリー設計を導入。

フロントセクション

(Leftyの進化とアウトフロントジオメトリー)

フロントフォークのLeftyはバイクのモデルチェンジとは関係なく進化を続けます。2019年FSiは新しいLeftyフォーク「Ocho」を搭載して2代目に進化。この新型(現行)FSiは何と言ってもアウトフロントジオメトリーの考え方が導入されているところが特徴。以前のキャノンデールのMTBはLeftyのせいか?ステアリングが軽く、安定感より機敏性が光っていましたが、2019年のFSi以降のバイクは安定感が違います。ヘッドアングルが寝かされ、フォーオフセットを多めに取ることにより安定感と機敏性の良いところでバランスがとれています。登りのスイッチバックでは小さくターンしトラクションがかかります。速い下りではフロントフォークが路面の凹凸を均等にならし、バイク全体が一体化します。なんだかハンググライダーを操縦している気分になります。この下りの安定感こそ新型Lefty Ochoの真骨頂だと言えます。実際旧FSiに乗っていた自分は新型FSiに試乗して即、買い替えたほど感銘を受けました。

一方2019年、2020年のスカルペルはフォークこそ新型Ochoに変わりましたが、ジオメトリーは旧来のままだったので、今回の新型スカルペルは本命!アウトフロントジオメトリーの採用が待ち遠しかったわけです。

ヘッドアングルは69.5°から68°に寝かされフロントセンターは3mm遠くなりました。
ちなみにヘッドアングルは
〇リジッドXCレーサーのFSiが69°
〇トレイル系バイクのハビットが66°
〇エンデューロ系レーサーのジキルは65°
下り系のバイクほどヘッドアングルを寝かせる傾向があります。スカルペルはF-Siと比較しても1°寝ています。これによりハンドリングがかなり下り寄りの取り回しになっていることがわかります。

リアセクション

次に大事なのがリアセクション。先に書きましたが26インチ時代のスカルペルはピボットレスサスペンションが特徴的でした。素材のしなりを使ってリアホイールをストロークさせダンパーにより減衰させる。今回のスカルペルでもその構造が取り入れられています。リアエンドの少し前。樹脂プロテクターに覆われている部分が極端に薄くなっています。ここをしならせることによりピボット1セット分軽量化しているのです。こういう技術がキャノンデール。昔からのスカルペルファンを唸らせる粋なはからいです。

そして何より機敏な走りに重要なリアセンターは436㎜。29インチのフルサスペンションMTBとしては驚異的な短さです。この設計でもクリアランスを確保できているのは前作から引き継いでいるAi。チェーンラインを外側に6㎜ズラすことにより、チェーンリングとリアタイヤとの間に空間を確保しています。他社モデルでも短いチェーンステーは存在しますが、タイヤとのクリアランスやチェーンリングのサイズなどに制約が生じてしまいます。

オフセットさせることはホイールの強度・剛性にも恩恵を与えます。通常リアホイールのスポークは左右非対称になっています。ドライブ側はスプロケットがあるのでスポークがハブのフランジから真上(真下)に伸びており、ディスク側は斜めになります。つまりドライブ側の剛性が低いのです。Aiのオフセットホイールはセンターが6㎜ズラしてあるのでハブのフランジの真ん中にリムが位置します。つまり左右対称になります。これによりホイール剛性と強度が格段に上がり、駆動輪がロスなく回るのです。

エンデュランスバイクのような下り性能を発揮するフロントセクションと切れ味抜群のリアセクションが組み合わさり、新型スカルペルは史上最強のMTBになったわけです。

その他、気になったところの写真を貼っておきます。

新しくなったホログラムクランク。専用工具がなくても取り外しができるワンキーリリース構造になっています。

左のシフターが無い代わりにサスペンションのセレクトレバーがあります。ケーブルが2本。フロント側とリア側に伸びており、ワンアクションで同時の切り替えることができます。

前から見た様子。Leftyがシングルクラウンになりとてもクリーンな印象です。

Scalpel Carbon 2(shimanoXT仕様・Lefty)・・・590,000円

Scalpel Carbon 4(SRAMNX仕様・FOX)・・・390,000円



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